作中の『カミサマ』とは、Articolato Rosatraum Waentbryda Sterwilfin White Mithra Oblige Saccade のプレイヤーのこと。
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*此処に出てくるあの子は『死に損ねたらどうする?』のあの子です。
未だ朝早く、その冷たさに微かな霧の広がるリムサ・ロミンサ。しかし市場の朝は早いもので、朝市の誘い声が響く。
冒険者が増えてからというものの、カウルを頭まですっぽりと着こんでいても然程不審がられないというのは、今は都合のよいことであった。
「潮の香り、っていい匂いね。あの頃は見向きもしてなかった」
「後悔してるの?」
「ええ、少し。気付かないままだったのよ?勿体無い事をしていたんだわ」
そんな朝のリムサ・ロミンサ。海に面したこぢんまりとしたカフェテリアで、わたくしはある人物と小さなスイーツタイムを楽しんでいた。
深くカウルを頭まですっぽり被っている、病的に青白い肌のエレゼンの女性。
――誰が思おうか、彼女が動く死者であることを。
シェーダーという種が存在する為、然程青白い肌は問題にはならなかった。蘇生者の腕が酷く良かったのか、肉体的な欠損や腐食は殆どなく、微かな異臭はカウルに織り込まれたハーブで防がれている。紫色の唇には、血色豊かな色の口紅を。
彼女の名はリアヴィヌ。
あれから、結局わたくし達は彼女を殺してやる事が出来なかった。レイヨの精神が相当に磨耗していたことを考え、彼には告げずにわたくし達はこっそり彼女を仮宿へ連れ帰った。
心と身体の主導権を奪わぬように、新たな魔力の契約をし、今の彼女はわたくしが維持している。そうしなくても生きていけないことはない。けれども、生命活動を止めている身体はそれが無ければ緩やかに腐敗していき、滅んでしまう。わたくし達は出来うる限り、彼女を人間に近いままで生かしてやりたいと思ったのだ。
ネクロマンシーは、当然純粋な黒魔の知恵ではない。其処には巴術の技術もあるし、忌むべきヴォイドがもたらした魔法も存在する。
此処にヴォイドが直接絡んで来なかったことを、幸運と思う他ない。突かれるような心の隙は幾らでもあったのだから。
「……アルト?どうしたの、食べないの?」
「え、あ、食べるに決まってるわっ!?」
どうやら、考え込むあまり手が止まっていたらしい。指摘されて慌ててパフェにスプーンを伸ばした。あまりこういう飾ったスイーツを食べないので、この時間は至福の時だ。
目の前の彼女もまた、自分の選んだパフェへとスプーンを伸ばす。消化する機能は生きているのか、なんて実はさっぱり考えていない。問題になるのなら、後でなんとかしようと投げ捨てた。
何より、彼女に彼女が死者であることを意識させるのが気まずかった。
「まるで普通の女の子ね、私達」
「普通の女の子じゃない」
「そうだったわね」
なんて、笑いながら。
リムサのマーケットに降りる。
立ち並ぶ店を二人で見て回る。彼女の手は柔らかなドレスグローブに覆われていて、脆い彼女の指を守っている。
「……あら、これ綺麗」
「お嬢ちゃん御目が高いね!それは霊銀を使ったある指輪のレプリカさ。ささやかながら魔除けの効果もある」
それは肉体的な怪我からに限らない。街の店で売られる程度のものであれば、彼女の身を銀や破邪から守ることも出来るようだった。
「……」
そっと、指輪を置くリアヴィヌが見えた。肉体的には守ることは出来ても、その心まで守ることは出来ないのかもしれない。
日が上りきる前にリムサを出る。
黒魔道士とカウルの女性、という異色のペアはやっぱりどうしたって目立つもの。私達だって、追及は怖い。
「今日は有難うね、楽しかったわ」
「そう、思って貰えてたなら嬉しいんだけど……」
彼女の幸せって、何だろう。
未だ朝早く、その冷たさに微かな霧の広がるリムサ・ロミンサ。しかし市場の朝は早いもので、朝市の誘い声が響く。
冒険者が増えてからというものの、カウルを頭まですっぽりと着こんでいても然程不審がられないというのは、今は都合のよいことであった。
「潮の香り、っていい匂いね。あの頃は見向きもしてなかった」
「後悔してるの?」
「ええ、少し。気付かないままだったのよ?勿体無い事をしていたんだわ」
そんな朝のリムサ・ロミンサ。海に面したこぢんまりとしたカフェテリアで、わたくしはある人物と小さなスイーツタイムを楽しんでいた。
深くカウルを頭まですっぽり被っている、病的に青白い肌のエレゼンの女性。
――誰が思おうか、彼女が動く死者であることを。
シェーダーという種が存在する為、然程青白い肌は問題にはならなかった。蘇生者の腕が酷く良かったのか、肉体的な欠損や腐食は殆どなく、微かな異臭はカウルに織り込まれたハーブで防がれている。紫色の唇には、血色豊かな色の口紅を。
彼女の名はリアヴィヌ。
あれから、結局わたくし達は彼女を殺してやる事が出来なかった。レイヨの精神が相当に磨耗していたことを考え、彼には告げずにわたくし達はこっそり彼女を仮宿へ連れ帰った。
心と身体の主導権を奪わぬように、新たな魔力の契約をし、今の彼女はわたくしが維持している。そうしなくても生きていけないことはない。けれども、生命活動を止めている身体はそれが無ければ緩やかに腐敗していき、滅んでしまう。わたくし達は出来うる限り、彼女を人間に近いままで生かしてやりたいと思ったのだ。
ネクロマンシーは、当然純粋な黒魔の知恵ではない。其処には巴術の技術もあるし、忌むべきヴォイドがもたらした魔法も存在する。
此処にヴォイドが直接絡んで来なかったことを、幸運と思う他ない。突かれるような心の隙は幾らでもあったのだから。
「……アルト?どうしたの、食べないの?」
「え、あ、食べるに決まってるわっ!?」
どうやら、考え込むあまり手が止まっていたらしい。指摘されて慌ててパフェにスプーンを伸ばした。あまりこういう飾ったスイーツを食べないので、この時間は至福の時だ。
目の前の彼女もまた、自分の選んだパフェへとスプーンを伸ばす。消化する機能は生きているのか、なんて実はさっぱり考えていない。問題になるのなら、後でなんとかしようと投げ捨てた。
何より、彼女に彼女が死者であることを意識させるのが気まずかった。
「まるで普通の女の子ね、私達」
「普通の女の子じゃない」
「そうだったわね」
なんて、笑いながら。
リムサのマーケットに降りる。
立ち並ぶ店を二人で見て回る。彼女の手は柔らかなドレスグローブに覆われていて、脆い彼女の指を守っている。
「……あら、これ綺麗」
「お嬢ちゃん御目が高いね!それは霊銀を使ったある指輪のレプリカさ。ささやかながら魔除けの効果もある」
それは肉体的な怪我からに限らない。街の店で売られる程度のものであれば、彼女の身を銀や破邪から守ることも出来るようだった。
「……」
そっと、指輪を置くリアヴィヌが見えた。肉体的には守ることは出来ても、その心まで守ることは出来ないのかもしれない。
日が上りきる前にリムサを出る。
黒魔道士とカウルの女性、という異色のペアはやっぱりどうしたって目立つもの。私達だって、追及は怖い。
「今日は有難うね、楽しかったわ」
「そう、思って貰えてたなら嬉しいんだけど……」
彼女の幸せって、何だろう。
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確りとした止めを刺さなかったからか。最後に頭を打ったからか。生前をあまりにも求められたが為に、魂まで黄泉返っていた為か。
「本当に、貴女リアヴィヌなの?」
「生憎ね。……久しぶりね、四人とも」
思えば、彼女は古い友のようなものであったな、とふと思い出す。止まっていた彼女の時間と、動き続けていた私達の時間の溝。
私に抱き締められている状況に大した驚きも見せないで、身構えたままのウェントを、不安がるアンフェルを、訝しそうに見上げるユイを、彼女は見やった。
「ユイ、何だか大人びた?」
「其処のお姉ちゃんが見てられないだけです」
「ああ、冒険中のこいつは知らなかったものね」
あの頃は、未だ。腕の中に大事にしまっていた養い子のユイ。
「ウェント、貴女ナイトになったのね」
「守りたいものが出来たからさ、でなくてはこんな危険に身は晒すまい」
「……そうね、彼もあっという間のことだった」
ウェントは彼女に出会った頃、初めて弓を取った。弓術士としては、彼女が先輩であったとも言えた。
「貴女も冒険者だったのね、意外だわ……アンフェル」
「かつての私はどんな人だったのですか?」
「え?……そうね。タムタラに行く前、貴女に祈って貰ったのよ。私は覚えているわ、見ず知らずの私に貴女が真剣だったこと」
其処にいたのは、アンフェルではないアンフェル。静かにグリダニアの地で祈りを捧げていたらしい、幻術士のアンフェルは、昔から本質は変わっていないのかもしれない。
三種三様の会話。空白を埋めるようなやり取りを、彼女はとても楽しそうにした。幸せそうに、目を細める彼女の青く血の気のない唇だけが、彼女が死者であることを思い出させる。
「アルト、大きくなった気がするわ」
彼女の時間は、終わったまま。新たに時砂が足されることはない。
「エレゼンの容姿なんて、数年でも大して変わらないわよ」
「そうなんだけど。自棄酒に付き合ってくれたあの頃は、もっと……。ううん、大人になったのね、って」
かつて、同じ砂の家に集っていた。
ただ、何も考えないで下働きをするのが全てであった彼女と、あの頃は何度も酒に酔った。
彼女は、忘れたくて。私は、なりたての大人の楽しみに酔いたくて。
いつもどちらかがつぶれるまで飲んで、気がついたらへんてこな事になっていたこともあった。
「……私はあの頃のままなのね」
彼女の顔が、曇る。
目を伏せても、涙は流れる事はない。抱き締めるわたくしに、身体をよせて、生温い体温が残酷な迄にひんやりと冷たく感じた。
「リアヴィヌ」
「眠るべきだと思う?貴女達なら、痛くないようにやってくれるのかもしれないけど」
此処にいる彼女は死んでいる。
けれども、今この状況を説明するなら、死に損ねたというのが正しいのかもしれない。魔物になって、理を外れて、本来彼女は、彼女として目を覚ますには色々と足りなかった筈だった。
エッダは、彼女に、身体も魂も求めた。だから、彼女の身体には、何らかの手段で無理矢理に喚び戻された彼女の魂が収められていた。だから、その身体で目を覚ましてしまったのかもしれない。
不幸な、ことに。
「死ぬのが怖いの、あの、何もかもが今度こそ私の手から離れていく感覚が」
わたくしの体温を分けて貰おうとでもするかのように。熱を持たない彼女は、わたくしにすがった。
すがるほか、なかったのでしょう。
***
取り敢えず、「死に損ねたらどうする?」としては此処でおちておきます。救いがなさそうなタイミングで。
「本当に、貴女リアヴィヌなの?」
「生憎ね。……久しぶりね、四人とも」
思えば、彼女は古い友のようなものであったな、とふと思い出す。止まっていた彼女の時間と、動き続けていた私達の時間の溝。
私に抱き締められている状況に大した驚きも見せないで、身構えたままのウェントを、不安がるアンフェルを、訝しそうに見上げるユイを、彼女は見やった。
「ユイ、何だか大人びた?」
「其処のお姉ちゃんが見てられないだけです」
「ああ、冒険中のこいつは知らなかったものね」
あの頃は、未だ。腕の中に大事にしまっていた養い子のユイ。
「ウェント、貴女ナイトになったのね」
「守りたいものが出来たからさ、でなくてはこんな危険に身は晒すまい」
「……そうね、彼もあっという間のことだった」
ウェントは彼女に出会った頃、初めて弓を取った。弓術士としては、彼女が先輩であったとも言えた。
「貴女も冒険者だったのね、意外だわ……アンフェル」
「かつての私はどんな人だったのですか?」
「え?……そうね。タムタラに行く前、貴女に祈って貰ったのよ。私は覚えているわ、見ず知らずの私に貴女が真剣だったこと」
其処にいたのは、アンフェルではないアンフェル。静かにグリダニアの地で祈りを捧げていたらしい、幻術士のアンフェルは、昔から本質は変わっていないのかもしれない。
三種三様の会話。空白を埋めるようなやり取りを、彼女はとても楽しそうにした。幸せそうに、目を細める彼女の青く血の気のない唇だけが、彼女が死者であることを思い出させる。
「アルト、大きくなった気がするわ」
彼女の時間は、終わったまま。新たに時砂が足されることはない。
「エレゼンの容姿なんて、数年でも大して変わらないわよ」
「そうなんだけど。自棄酒に付き合ってくれたあの頃は、もっと……。ううん、大人になったのね、って」
かつて、同じ砂の家に集っていた。
ただ、何も考えないで下働きをするのが全てであった彼女と、あの頃は何度も酒に酔った。
彼女は、忘れたくて。私は、なりたての大人の楽しみに酔いたくて。
いつもどちらかがつぶれるまで飲んで、気がついたらへんてこな事になっていたこともあった。
「……私はあの頃のままなのね」
彼女の顔が、曇る。
目を伏せても、涙は流れる事はない。抱き締めるわたくしに、身体をよせて、生温い体温が残酷な迄にひんやりと冷たく感じた。
「リアヴィヌ」
「眠るべきだと思う?貴女達なら、痛くないようにやってくれるのかもしれないけど」
此処にいる彼女は死んでいる。
けれども、今この状況を説明するなら、死に損ねたというのが正しいのかもしれない。魔物になって、理を外れて、本来彼女は、彼女として目を覚ますには色々と足りなかった筈だった。
エッダは、彼女に、身体も魂も求めた。だから、彼女の身体には、何らかの手段で無理矢理に喚び戻された彼女の魂が収められていた。だから、その身体で目を覚ましてしまったのかもしれない。
不幸な、ことに。
「死ぬのが怖いの、あの、何もかもが今度こそ私の手から離れていく感覚が」
わたくしの体温を分けて貰おうとでもするかのように。熱を持たない彼女は、わたくしにすがった。
すがるほか、なかったのでしょう。
***
取り敢えず、「死に損ねたらどうする?」としては此処でおちておきます。救いがなさそうなタイミングで。
*実際はそんなことは起きません。
大人しく埋葬してあげてください。ザンデじゃないんだから。
「……そでしょ」
「あれが幻には見えんのだが」
"エッダとアヴィール"の結婚式。
そう、題された一通の手紙に誘われたタムタラの墓場で、私達が見たのは、既に命失い、眠っていた筈の同胞の姿であった。
柔らかくしなやかな、栗色の髪。真新しく取り替えられた珈琲色のチュニック。その手には短弓。
血が通っているのかいないのか、病じみて白い……それでも、傍らのナイトの肌色に劣ったが……その指先は、接近するナイトに向け、背中の矢筒から矢をつがえていた。
「残念だが、意識はないようだな……くるぞ!」
覚悟を決めたナイトが、彼女の懐に飛び込んだ。
拙い弓捌きであった。それが、逆に辛いものがあったと、後にナイトは……ウェントは語る。
戦いの末にたたらを踏む、弱々しい彼女を、わたくしは奪うように抱き締めた。もう傷付けるのはこりごりだった。彼女の短弓を剥ぎ取るように投げ捨てたが、弱った彼女は何も出来なかった。
驚いたのはナイトだった。そりゃ、攻撃していた相手をヒーラーである学者のわたくしが急に飛び出して抱き止めたのだもの。当然のこと。ただ、それだけではなかった。彼女の指示に応えて自暴自棄にわたくし達を襲っていた他のゾンビー達が、他ならぬわたくしを狙っていたのだ。ウェントは咄嗟に庇おうとしてくれたが、それで全てを止めることはかなわず、わたくしと……わたくしと彼女は強かに頭を打ち付けることとなった。
「もう、何をやっているんだ。それですべてだったとはいえ……」
「もう、不注意にも程があるよ?お姉ちゃん」
ほんの少し意識が飛んでいただろうか。呆れる白魔のララフェルと、ルガディンのナイトの凸凹コンビが見えた。
腕の中には未だ生温い暖かみがあって、見やれば、彼女が眠っている。わたくしの意を察してか、目立つ刀傷は妖精が塞いでくれたようで、綺麗になった青白い頬を撫でる。眠りの表情は、あの虚ろな姿からはうってかわって柔らかで……
「……もう、他にゾンビーは居ないみたいだよ。ウェントちゃん、此処は安全になったかな」
「有難う、アンフェル。ガルーダも助かったよ」
「ん、どういたしまして。でも、彼女どうしよっか……他のゾンビーと違って直ぐにはエーテル分解されないみたいだけれども」
おおよそ、魔物等に多い事だけれども。生きることにエーテルを使いすぎて、死と共に塵と化すケースは結構ある。
彼女、リアヴィヌの身体は他のゾンビーとは違ってそうはならなかった。恐らく、彼女を黄泉返らせたエッダが、出来る限りで生前のままの彼女を望んだというのがあるだろう。
「魔物に食い荒らされないか心配だけれど、奥にレイヨもいる事だし、此処で眠らせておいてやりましょ」
わたくしはそう応え、一度だけ、そっと眠る彼女を強く抱き締めた。そして彼女の顔をそっと覗き込んで……
「だから、私は嫌だって言ったのよ……」
頭を悩ませるようなしかめっ面で、ゆっくりと目を開ける、彼女と目があった。
「……って、あれ。未だ生きてる」
「……えっ、意識が、戻って」
驚きの叫び声を上げるわたくしと、思いっきり耳を塞ぐ彼女と、
どちらもとがあったのは言うまでもない。
大人しく埋葬してあげてください。ザンデじゃないんだから。
「……そでしょ」
「あれが幻には見えんのだが」
"エッダとアヴィール"の結婚式。
そう、題された一通の手紙に誘われたタムタラの墓場で、私達が見たのは、既に命失い、眠っていた筈の同胞の姿であった。
柔らかくしなやかな、栗色の髪。真新しく取り替えられた珈琲色のチュニック。その手には短弓。
血が通っているのかいないのか、病じみて白い……それでも、傍らのナイトの肌色に劣ったが……その指先は、接近するナイトに向け、背中の矢筒から矢をつがえていた。
「残念だが、意識はないようだな……くるぞ!」
覚悟を決めたナイトが、彼女の懐に飛び込んだ。
拙い弓捌きであった。それが、逆に辛いものがあったと、後にナイトは……ウェントは語る。
戦いの末にたたらを踏む、弱々しい彼女を、わたくしは奪うように抱き締めた。もう傷付けるのはこりごりだった。彼女の短弓を剥ぎ取るように投げ捨てたが、弱った彼女は何も出来なかった。
驚いたのはナイトだった。そりゃ、攻撃していた相手をヒーラーである学者のわたくしが急に飛び出して抱き止めたのだもの。当然のこと。ただ、それだけではなかった。彼女の指示に応えて自暴自棄にわたくし達を襲っていた他のゾンビー達が、他ならぬわたくしを狙っていたのだ。ウェントは咄嗟に庇おうとしてくれたが、それで全てを止めることはかなわず、わたくしと……わたくしと彼女は強かに頭を打ち付けることとなった。
「もう、何をやっているんだ。それですべてだったとはいえ……」
「もう、不注意にも程があるよ?お姉ちゃん」
ほんの少し意識が飛んでいただろうか。呆れる白魔のララフェルと、ルガディンのナイトの凸凹コンビが見えた。
腕の中には未だ生温い暖かみがあって、見やれば、彼女が眠っている。わたくしの意を察してか、目立つ刀傷は妖精が塞いでくれたようで、綺麗になった青白い頬を撫でる。眠りの表情は、あの虚ろな姿からはうってかわって柔らかで……
「……もう、他にゾンビーは居ないみたいだよ。ウェントちゃん、此処は安全になったかな」
「有難う、アンフェル。ガルーダも助かったよ」
「ん、どういたしまして。でも、彼女どうしよっか……他のゾンビーと違って直ぐにはエーテル分解されないみたいだけれども」
おおよそ、魔物等に多い事だけれども。生きることにエーテルを使いすぎて、死と共に塵と化すケースは結構ある。
彼女、リアヴィヌの身体は他のゾンビーとは違ってそうはならなかった。恐らく、彼女を黄泉返らせたエッダが、出来る限りで生前のままの彼女を望んだというのがあるだろう。
「魔物に食い荒らされないか心配だけれど、奥にレイヨもいる事だし、此処で眠らせておいてやりましょ」
わたくしはそう応え、一度だけ、そっと眠る彼女を強く抱き締めた。そして彼女の顔をそっと覗き込んで……
「だから、私は嫌だって言ったのよ……」
頭を悩ませるようなしかめっ面で、ゆっくりと目を開ける、彼女と目があった。
「……って、あれ。未だ生きてる」
「……えっ、意識が、戻って」
驚きの叫び声を上げるわたくしと、思いっきり耳を塞ぐ彼女と、
どちらもとがあったのは言うまでもない。
Unverziert=Rosatraum
アンフェルツィート=ローザトラウム。旧名ユウラ=ローザトラウム(Youlla=Rosatraum)。かつてミコッテのムーンキーパーであった前世を持つ、エレゼンのシェーダーの女性。年齢は約28歳。
かつての姿は瑠璃色の髪に、新緑の瞳、毛の立つふかふかとした尻尾を持つ、ミコッテの中でも小柄で未発達な少女であったと言われている。エレゼンの姿は白銀の緩やかなウェーブを持つ髪、左右で僅かに色味の違う深紅の瞳、豊かな胸にぴんと張った長耳、ルガディン族には劣るもののその分しなやかである長身と、ミコッテであった姿と比べ対称的に見える部分が数多く見受けられる。
本人は年の割に自意識が幼かった事もあり、大人らしい自分に戸惑いを見せる姿もよく見られているという。
かつてミコッテであった頃、彼女は難民であった。ムーンキーパーであるにも関わらずどん臭かった為に狩がうまくいかず、狩り以外の道を探してザナラーン迄迷い出たのは良いものの、そのまま稼ぐことも出来ず餓えに苦しんでいたのだ。そんな彼女を冒険者として見初めた男性は、剣術士である自分をサポートする幻術士として、かつての彼女に新しい道を与えた。
しかし、時が立つにつれ、彼の寵愛は他の幻術士に向くようになり、彼女は一人で冒険することが多くなっていった。やがて、先を走る彼や、彼の仲間とは力の差がありすぎる事も理解し、彼女は自分が戦う事よりも、『カミサマ』が与えてくれる記憶越しにアルトの戦いを追体験することばかりをするようになっていった。アルトには立場や力の近い仲間が多くおり、最初は正答を知らないという、攻略者らしい日々が彼女の日々には無かった為、とても魅力的な時間であったからである。それは彼のコミュニティからの彼女の心離れを生み、やがて、彼と彼女は仲直りの出来ない喧嘩をして彼女は彼と袂を別つことになった。
アルトやウェントのと違うところとして、かつてのユウラには冒険以外で生計を立てる手段がなかった。またその冒険者としての能力も一人で狩や戦闘を行えるものではなく、冒険者として生計を立てることも難しかった。しかして、彼と彼のコミュニティを失った彼女は再び餓えるようになり、『カミサマ』と接触する日も激減していた。
幻想薬と『カミサマ』がいう薬の力によって、今の姿、今の名、今の運命を得ているように見える。が、実際はユウラとアンフェルは肉体的にはなんの関係もない別人であり、肉体が変じたのではなく、魂が器を変えたというのが正しい。ユウラがアンフェルとなる前のアンフェルはグリダニアで静かに書生のような生を送っていたらしく、幻術士シルフィーを助け、白魔道士となり、グリダニアの道士の一人となった事が判明している。また、魂の抜けたユウラの肉体は、あの後噴水の水のなかに倒れ込み、帰らぬひととなっている。
現在は道士として地位が確立されている事もあり、後輩幻術士達の教育者としてお仕事をしたり、個人的な御気に入りの場である外地ラノシアの地で静かに祈りを捧げていたりする。また、趣味を持つべきとすすめられた漁師にハマっているようで、のんびりと釣糸を垂れている姿も時折見受けられるという。
自分がユウラというミコッテであった、という意識は薄れつつある。隠者の庵は彼との思い出の場でもあったが、今はそれすらも稀に懐かしむ程度。しかし染み付いた癖や、好みなどは残っているようで自分で釣った魚を拙いながら調理して食べていたり、猫のように背中を丸めて寝ることも多いという。
心優しいが人一倍臆病である。表向きは平静を装っているように見えて、中身はテンパってそれどころじゃない、なんてことも。悩むことも多いが、優柔不断である為中々決定を下せない。一度決めた事柄に対して真っ直ぐである、という側面も同時に持ち合わせてはいるが。小さなことを割と気にするが、余りくよくよしたりはしない。良くも悪くものんびりとした子である。
惚れっぽい為、直ぐに何かに夢中になる。アンフェルになって以後、他人の猫耳や猫尻尾をいじくるのが好きなのかよくべたべたしている姿が見られる。ミコッテに戻りたいとは考えてはいないそうだが、耳と尻尾はちょっと恋しいそうなのでそれもあるのだろう。
アンフェルツィート=ローザトラウム。旧名ユウラ=ローザトラウム(Youlla=Rosatraum)。かつてミコッテのムーンキーパーであった前世を持つ、エレゼンのシェーダーの女性。年齢は約28歳。
かつての姿は瑠璃色の髪に、新緑の瞳、毛の立つふかふかとした尻尾を持つ、ミコッテの中でも小柄で未発達な少女であったと言われている。エレゼンの姿は白銀の緩やかなウェーブを持つ髪、左右で僅かに色味の違う深紅の瞳、豊かな胸にぴんと張った長耳、ルガディン族には劣るもののその分しなやかである長身と、ミコッテであった姿と比べ対称的に見える部分が数多く見受けられる。
本人は年の割に自意識が幼かった事もあり、大人らしい自分に戸惑いを見せる姿もよく見られているという。
かつてミコッテであった頃、彼女は難民であった。ムーンキーパーであるにも関わらずどん臭かった為に狩がうまくいかず、狩り以外の道を探してザナラーン迄迷い出たのは良いものの、そのまま稼ぐことも出来ず餓えに苦しんでいたのだ。そんな彼女を冒険者として見初めた男性は、剣術士である自分をサポートする幻術士として、かつての彼女に新しい道を与えた。
しかし、時が立つにつれ、彼の寵愛は他の幻術士に向くようになり、彼女は一人で冒険することが多くなっていった。やがて、先を走る彼や、彼の仲間とは力の差がありすぎる事も理解し、彼女は自分が戦う事よりも、『カミサマ』が与えてくれる記憶越しにアルトの戦いを追体験することばかりをするようになっていった。アルトには立場や力の近い仲間が多くおり、最初は正答を知らないという、攻略者らしい日々が彼女の日々には無かった為、とても魅力的な時間であったからである。それは彼のコミュニティからの彼女の心離れを生み、やがて、彼と彼女は仲直りの出来ない喧嘩をして彼女は彼と袂を別つことになった。
アルトやウェントのと違うところとして、かつてのユウラには冒険以外で生計を立てる手段がなかった。またその冒険者としての能力も一人で狩や戦闘を行えるものではなく、冒険者として生計を立てることも難しかった。しかして、彼と彼のコミュニティを失った彼女は再び餓えるようになり、『カミサマ』と接触する日も激減していた。
幻想薬と『カミサマ』がいう薬の力によって、今の姿、今の名、今の運命を得ているように見える。が、実際はユウラとアンフェルは肉体的にはなんの関係もない別人であり、肉体が変じたのではなく、魂が器を変えたというのが正しい。ユウラがアンフェルとなる前のアンフェルはグリダニアで静かに書生のような生を送っていたらしく、幻術士シルフィーを助け、白魔道士となり、グリダニアの道士の一人となった事が判明している。また、魂の抜けたユウラの肉体は、あの後噴水の水のなかに倒れ込み、帰らぬひととなっている。
現在は道士として地位が確立されている事もあり、後輩幻術士達の教育者としてお仕事をしたり、個人的な御気に入りの場である外地ラノシアの地で静かに祈りを捧げていたりする。また、趣味を持つべきとすすめられた漁師にハマっているようで、のんびりと釣糸を垂れている姿も時折見受けられるという。
自分がユウラというミコッテであった、という意識は薄れつつある。隠者の庵は彼との思い出の場でもあったが、今はそれすらも稀に懐かしむ程度。しかし染み付いた癖や、好みなどは残っているようで自分で釣った魚を拙いながら調理して食べていたり、猫のように背中を丸めて寝ることも多いという。
心優しいが人一倍臆病である。表向きは平静を装っているように見えて、中身はテンパってそれどころじゃない、なんてことも。悩むことも多いが、優柔不断である為中々決定を下せない。一度決めた事柄に対して真っ直ぐである、という側面も同時に持ち合わせてはいるが。小さなことを割と気にするが、余りくよくよしたりはしない。良くも悪くものんびりとした子である。
惚れっぽい為、直ぐに何かに夢中になる。アンフェルになって以後、他人の猫耳や猫尻尾をいじくるのが好きなのかよくべたべたしている姿が見られる。ミコッテに戻りたいとは考えてはいないそうだが、耳と尻尾はちょっと恋しいそうなのでそれもあるのだろう。
Waentbryda=Sterwilfin
ウェントブリダ=ステルウィルフィン。正しいスペルはWaentbryda=Sterrwilfwyn。ルガディン、ゼーウォルフの女性。年齢は約24歳。
青銀の髪、深海の瞳、病的な程の白肌と、ルガディン族にしては若干細身ながらも筋肉質で2mを越す長身を持つ。
種族においても類い稀な巨乳である。それを恥じたり照れたり意識は薄い。
傭兵稼業で生きる日々の中、新しい仕事を求めてウルダハを訪れた。その前は母が戦えなくなるまでは、母親と二人で傭兵稼業を生業として暮らしていた。
そもそもウェントブリダは海賊の娘であった。セイレーンの引き起した嵐の最中に生まれ、生まれて早々大泣きして、結果的にではあるが船をセイレーンの魔の手から救い、その経緯から『風の花嫁』と名付けられた。
しかし、余りにも強烈な出来事であった為母親はセイレーンが娘を狙って再度現れるのではと考えて船を降りたのだという。
母親は娘がセイレーンと関わらぬよう、音楽や弓に触れる機会を殆ど与えなかったが、そんな彼女が独り立ちしてすぐあっさり弓に惚れ込み詩人の道を歩むとは流石に思っていなかった事であろう。
今ではすっかり吟遊詩人として有名な彼女であるが、自由騎士の称号を持つナイトの一人でもあり、ウルダハでは今密やかに写真が高額で取引されていたりするなど、アイドル的な扱いをされているとの噂だが当人はさっぱり存じないようである。
傭兵稼業で稼げぬときの食い繋ぎとして狩人のような生活をしていた。今は餓える事もないが、好きでそのような生活を続けている。クァールを手懐け、獣を狩り、肉を得ると共に革をなめす生活は、その肉を調理してくれるアルトの存在や、革細工の師として師事したケヴァなどのおかげでかなり豊かなものになったという。
気丈でマニッシュな立ち振舞いを好む。しかしながら、感情的で衝動的になりやすい彼女はしばしば向こう見ずであったりもする。同族の男性らのようにルガディンならではの力仕事などで活躍したいとは常々思いながら、女性として扱われる事が嫌というわけではなく、身構えていないのか酷く照れたり動転したりする姿も見受けられる。
ある程度は耐えられる精神は持っているのだが、感情的で、さらにいうならば感受性が高いためすぐ鬱気味になる子供であったらしく、今でも人一倍悩む姿が見られる。視線や気配にも敏感で、一部の信頼できる相手を除き、人や獣の気配のある処では眠れないといった悩みもある。最近は仮宿があるものの、其れまではケヴァの協力を得て人払いがされた一室で寝ることも多かったという。これに限らず、ケヴァには『カミサマ』の体質の件など、様々な事情を話しており、ウェントには良き支えの一人となっているようだ。
小さいものが好きな彼女。特にララフェルが好きで、ララフェルを肩車したり出来ないかと常日頃から機会を狙っている。基本他種の女性を抱えるときは姫抱きにする為、驚かれることも少なくない。
ウェントブリダ=ステルウィルフィン。正しいスペルはWaentbryda=Sterrwilfwyn。ルガディン、ゼーウォルフの女性。年齢は約24歳。
青銀の髪、深海の瞳、病的な程の白肌と、ルガディン族にしては若干細身ながらも筋肉質で2mを越す長身を持つ。
種族においても類い稀な巨乳である。それを恥じたり照れたり意識は薄い。
傭兵稼業で生きる日々の中、新しい仕事を求めてウルダハを訪れた。その前は母が戦えなくなるまでは、母親と二人で傭兵稼業を生業として暮らしていた。
そもそもウェントブリダは海賊の娘であった。セイレーンの引き起した嵐の最中に生まれ、生まれて早々大泣きして、結果的にではあるが船をセイレーンの魔の手から救い、その経緯から『風の花嫁』と名付けられた。
しかし、余りにも強烈な出来事であった為母親はセイレーンが娘を狙って再度現れるのではと考えて船を降りたのだという。
母親は娘がセイレーンと関わらぬよう、音楽や弓に触れる機会を殆ど与えなかったが、そんな彼女が独り立ちしてすぐあっさり弓に惚れ込み詩人の道を歩むとは流石に思っていなかった事であろう。
今ではすっかり吟遊詩人として有名な彼女であるが、自由騎士の称号を持つナイトの一人でもあり、ウルダハでは今密やかに写真が高額で取引されていたりするなど、アイドル的な扱いをされているとの噂だが当人はさっぱり存じないようである。
傭兵稼業で稼げぬときの食い繋ぎとして狩人のような生活をしていた。今は餓える事もないが、好きでそのような生活を続けている。クァールを手懐け、獣を狩り、肉を得ると共に革をなめす生活は、その肉を調理してくれるアルトの存在や、革細工の師として師事したケヴァなどのおかげでかなり豊かなものになったという。
気丈でマニッシュな立ち振舞いを好む。しかしながら、感情的で衝動的になりやすい彼女はしばしば向こう見ずであったりもする。同族の男性らのようにルガディンならではの力仕事などで活躍したいとは常々思いながら、女性として扱われる事が嫌というわけではなく、身構えていないのか酷く照れたり動転したりする姿も見受けられる。
ある程度は耐えられる精神は持っているのだが、感情的で、さらにいうならば感受性が高いためすぐ鬱気味になる子供であったらしく、今でも人一倍悩む姿が見られる。視線や気配にも敏感で、一部の信頼できる相手を除き、人や獣の気配のある処では眠れないといった悩みもある。最近は仮宿があるものの、其れまではケヴァの協力を得て人払いがされた一室で寝ることも多かったという。これに限らず、ケヴァには『カミサマ』の体質の件など、様々な事情を話しており、ウェントには良き支えの一人となっているようだ。
小さいものが好きな彼女。特にララフェルが好きで、ララフェルを肩車したり出来ないかと常日頃から機会を狙っている。基本他種の女性を抱えるときは姫抱きにする為、驚かれることも少なくない。
プロフィール
HN:
虚向風音
性別:
非公開
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