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作中の『カミサマ』とは、Articolato Rosatraum Waentbryda Sterwilfin White Mithra Oblige Saccade のプレイヤーのこと。  
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『カミサマ』憑き。
特定の状況下で、特異的な力を発揮する私達ReC一家を、事情を知る者はそう呼ぶ。
まあ、光の戦士程表立って活動している訳じゃないし、そもそも私達が特殊であることを知らぬ者の方が多い。
逆に言ってしまえば、『カミサマ』の居ないときの私達は、戦闘面においてはただの“熟練の冒険者”であるし、桁が違うほどの数の差を、覆せる程の英雄じゃない。




彼女の銘 1/4


薄闇が降りようとする黒衣森。
中央森林を目指しながらも、大きく逸れてしまった獣道をクァールにしがみつくようにして走り抜ける。
それもこれも、追われているからだ。獲物として。

「ったく、間の悪い……!」

私は普段からグリダニアで活動しているわけでは無い。イシュガルドにも足を向けるようになり、彼の地で自らの工房とブランドを持つようになってからその工房で寝泊まりしている。
後輩技師の指導、経営者であるエルドとの会議、見本品や上客への商品の納品と、イシュガルドでの仕事も多い。
それでも私は革細工だけが仕事ではないし、ブランドフェン・イルを抱える革細工ギルドを抜けたわけでは無い。

季節の変わり目にあたって、双蛇党の新兵達が武器や防具を変えるだろう。その者達の為にサンプルを木工と革細工、両方のギルドの名で送ることになっていた。
勿論、ギルドの一員である私も例外では無い。
今日はその商品を運ぶための旅でもあった。

「……砂漠の奴等ならいい加減撒けるのだが」

消えない気配を感じて独り言つ。
運悪く密猟者に絡まれた私達は、こうやって逃げの道を取りながらグリダニアを目指していたのだ。
しかし未だ慣れぬ森の地は、奴さんのホームでもある。これでもかなりの距離を走ったと思うのだが……
   
「のわっ!?」

考え事は廻る視界に遮られた。
クァールが思いっきりつんのめったのだ。
急ブレーキに対応出来ず、乗り手の私だけが宙に投げ出される。頭から落ちずに済んだのは幸いだが、強かに尻を打ち、思わずさすりながら状況をあらためる。

「よりによって……」

クァールを見れば、前足をトラバサミに喰われていた。狩人としても経験のある身としては、傷付けずに外すことくらいはたいしたことでは無い。問題は……

「やっと止まってくれましたか、お嬢さん」
「クァールクロウ……」
「傷付け迄するつもりはないんですから、もっと早くに止まってくれても良かったんですよ?」

密猟王「クァールクロウ」。
ムーンキーパーでありながら、さすらうのでは無く女性の同族を侍らせる事を選び、かつ、その女性らと同名の密猟団を築いて活動している密猟者だ。
もっとも、クァールクロウなどというのは通名だろう。ミコッテ族の名からは大きく外れている。冒険者にはそのような者が多いし、何も珍しい事では無いが。

「ナイフの音で応えるだなんて、キミは相変わらず勿体ないねぇ」
「生憎と、手紙の配達以外の依頼はお断りでね」

此奴との出会いは、かつて此奴の部下の一人への手紙を預かってしまった事に始まる。
それから暫く、どうやら私の出身と立ち位置を調べ上げたらしい。
て自ら追ってくるようになったのは、まこと面倒な事なのだが。

……それを久々の旅路、わすれていた私も私。

「君ほどの強く美しい女が、思うように狩ることも思うように作ることも出来ない」
「私達革細工師は生かされているに過ぎぬ、其れを知らず土壌を枯らす事も省みないお前に寧ろ驚かされるよ」
「冷たいねえ。……でもいま、おのれの立場は分かっているか?」

周囲の気配が揺らぐのを感じて言葉に詰まる。
手元にあるナイフひとつでは、目の前のクァールクロウに刺されぬよう身を守る事は出来ても、彼方此方に潜むそれらの気配を凌ぐことは出来ないだろう。

「高名な君だから、1着仕立ててくれれば今回の処は見逃すけれど。抵抗するなら……作り手のその腕以外ダメにしてしまっても良いだろ?」

にじり寄る彼を前に、しかし下がるわけにもいかなかった。未だ罠に掛かったままのクァールがいるからだ。足をとられて振り返れないまま、それでも主を思ってか深くうなり声をあげている。

私に出来るのは、ただ愛騎を護るように庇い立つことくらいであった。其れが抵抗の意思と見做されようと。

「まあ、其れでこそお前か」

其れに最初と同じような笑みを返してくる彼は、しかしながら次の瞬間その表情を引っ込めた。
   








飛びすさるように飛び退いた跡に、真っ直ぐな切っ先が走った。私と彼を遮るように、その剣の持ち主が影を落とす。
飛び退いた彼はというと、弾けるように現れた爆炎に、更に二度、三度と後退を余儀なくされ、割入った影を睨みつける。

「ちぃ、双蛇党が……!」

影は黄色の特徴的な衣を身に纏っていた。
グリダニアの軍隊といってもいい、グランドカンパニー双蛇党の制服。 
着れる者が限られるその色なら、僅かな間と言え、背を預ける事は出来よう。
私はクァールの罠を外し、その積荷に手を掛ける。

「もう大丈夫です、下がってくださ──!?」

その中から取り出したサンプル品のスチールランス。私は躊躇いなく、その槍を、今一番“敵視”を感じるところへ、投擲した。

「きゃあ!?」

聞こえてきたのはクァールクロウの部下の悲鳴だ。あの位置から狙撃を試みていた者だろう。
ややして、他の位置からも魔法の爆発音と共に他の敵意も感じられなくなった。

「てめえら……!」
「未だやるかっ」

クァールクロウは激昂しながらも、状況を理解してもいるらしい。
しばしの睨み合いの後、彼は森の中へと消えていった。

後は追わない。
何時もの武器を持たぬ私も、助けに来てくれたこの彼も、敵の陣地で戦うのは無謀であると心得ているから。
其れでも青年が悔しそうな視線を向けたままであったのは、正義感ゆえ、だろうか。











そうして、少し。
緊張が解かれた頃に掛けられる声があった。

「今度こそもう大丈夫ですよ、しかし良く気付かれましたね」
   
姿を現したのはララフェルの呪術師のように見える。グリダニアではララフェル自体多くなく、珍しい存在であり、私自身意外そうに視線を遣る。

「……槍は専門外のように見受けられましたが、気高きお嬢さん。護衛は入り用ですか?」

其れが、私とこの隊の出会いの切っ掛けであった。
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