作中の『カミサマ』とは、Articolato Rosatraum Waentbryda Sterwilfin White Mithra Oblige Saccade のプレイヤーのこと。
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(光の戦士は実在して、プレイヤーが『カミサマ』として憑依してるという設定)
終わりが始まりである、とはよくいったものだ。
時には心を曇らせたまま、時には超常の力を私達に丸投げして。
何時にもなく憂鬱な『カミサマ』との旅。
それもそう、なのかもしれない。
――歴史を動かすものってのは、何時だって疫病神だから。
『カミサマ』はそういって、旅路のなか、何度も私達に停滞を薦めた。
今なら止まれる、と。今なら失わなくて済むかもしれないと。
――私達は生きているのだ、どうせいつか死ぬのだよ。
私はそう返したのだったか――
祝賀の席。
私達、光の戦士には――他者に見せられるような笑顔はなく。
密やかに祝賀の席を抜け出しては、各々の場へと転がり込んでいた。
それぞれ理由は様々で、それぞれ場所も違うけれど、おもいはひとつ。
――これは勝利と、いえるのだろうか。
聡い彼女は、こういうだろう。『勝利にしていかねば、ならぬのです』と。
優しい彼女は、こういうだろう。『勝利と思わねば、辛過ぎるよ』と。
そして私は、ひとつの答えを出すだろう。
『勝利はそもそも、犠牲を美化する為にあるのだろう』と。
「オルシュファン様」
交流が再開した折には、是非ともわたくしと、わたくしの旦那様と。
釣りをしましょう、ラノシアの大海で。そう零した約束を、思い出す。
一方的に提案した約束だった。返事すら聞かなかった。
不確約な約束。でもそれがあるからこそ、未来をと願っていられた。
未来も彼は失われないと、妄信的に考えていられたのかもしれない。
「軍学者としては、失格でしたかもしれません」
いのちが失われるのは、何時も一瞬。彼だけじゃない、イゼルだって。
もう少し、予測できていれば、身構えていれば、咄嗟の対応がうまくいけば。
最善がこれであるとは、どうしても思えないのは、きっとわたくしが軍師であるから。
「わたくしはこれを、勝利とは言いたくありません……
余りにも、余りにも、失ったものが多すぎるのです」
喜びに沸き立つ祝賀の席では、到底言えぬ心の言葉。
嘆いても戻らぬ、戦友の命。後ろを向いては進まぬ、歩みの跡。
「けれど現実は塗り替えられませんから」
深く深く、眠りに易き森の緑の法衣を。
ふわり雪の上に広げ、彼女は祈る。
「せめてご心配はおかけしません。見守っているだけでは物足りなくなるような
賑やかで美しい都を――未来を、形作っていきますわ」
「歴史家が、この戦を辛勝でもなく、『勝利であった』といえますよう」
「いぜる」
「ねえ、いぜる。何処までいったの?」
黄昏色に染まる雲海の中空で、召喚師が問う。きっとあの激闘のあった場所。
エーテルに還った彼女が「いきつく」場所などたったひとつ。
わかっていても、認められずに。
「シヴァのエギを、生み出したら。貴女に会える?」
蛮神の力を制御し、使い魔とし、操るのが召喚師。
しかし、今彼女は知った。蛮神とは祈りとエーテルがもたらす偶像に過ぎぬと。
彼女の祈りが氷の乙女を蛮神として、使い魔として、手繰り寄せたとしても。
「それもまた氷結の幻想に過ぎない……よね」
それは今度は彼女が生む、ひとときの夢でしかない。
「あんまりだよ!オルシュファン様もエスティニアン様も、イゼルも、イゼルも……」
彼女を乗せる名のある竜は、ただ静かに彼女の慟哭を聞く。
彼女が思いっきり泣けるように、その心を阻害することないように。
「イゼルとも一緒に帰ってこれないなんて!」
いつしか涙声混じり、少女は叫ぶ。
幼子の駄々のようなその声で涙を振り払うように顔を振り。
「こんなの勝利って言えないよ――!」
『気は済んだか、娘』
「……ごめんなさい、ミドガルズオルム。我侭に付き合って貰っちゃって」
いつの間にか黄昏の雲は日の陰りと共に、薄闇を孕み柔らかな藍色となっていた。
静かな静かな雲海に、竜の羽ばたきの音だけが響く。
「……勝ったんだ。勝ち得たものは、あったんだ。そう思わないと、ちょっと辛過ぎるね。
その勝ち得たものを無駄にしない為にも私達は、進まなきゃね……」
終わりが始まりである、とはよくいったものだ。
時には心を曇らせたまま、時には超常の力を私達に丸投げして。
何時にもなく憂鬱な『カミサマ』との旅。
それもそう、なのかもしれない。
――歴史を動かすものってのは、何時だって疫病神だから。
『カミサマ』はそういって、旅路のなか、何度も私達に停滞を薦めた。
今なら止まれる、と。今なら失わなくて済むかもしれないと。
――私達は生きているのだ、どうせいつか死ぬのだよ。
私はそう返したのだったか――
祝賀の席。
私達、光の戦士には――他者に見せられるような笑顔はなく。
密やかに祝賀の席を抜け出しては、各々の場へと転がり込んでいた。
それぞれ理由は様々で、それぞれ場所も違うけれど、おもいはひとつ。
――これは勝利と、いえるのだろうか。
聡い彼女は、こういうだろう。『勝利にしていかねば、ならぬのです』と。
優しい彼女は、こういうだろう。『勝利と思わねば、辛過ぎるよ』と。
そして私は、ひとつの答えを出すだろう。
『勝利はそもそも、犠牲を美化する為にあるのだろう』と。
「オルシュファン様」
交流が再開した折には、是非ともわたくしと、わたくしの旦那様と。
釣りをしましょう、ラノシアの大海で。そう零した約束を、思い出す。
一方的に提案した約束だった。返事すら聞かなかった。
不確約な約束。でもそれがあるからこそ、未来をと願っていられた。
未来も彼は失われないと、妄信的に考えていられたのかもしれない。
「軍学者としては、失格でしたかもしれません」
いのちが失われるのは、何時も一瞬。彼だけじゃない、イゼルだって。
もう少し、予測できていれば、身構えていれば、咄嗟の対応がうまくいけば。
最善がこれであるとは、どうしても思えないのは、きっとわたくしが軍師であるから。
「わたくしはこれを、勝利とは言いたくありません……
余りにも、余りにも、失ったものが多すぎるのです」
喜びに沸き立つ祝賀の席では、到底言えぬ心の言葉。
嘆いても戻らぬ、戦友の命。後ろを向いては進まぬ、歩みの跡。
「けれど現実は塗り替えられませんから」
深く深く、眠りに易き森の緑の法衣を。
ふわり雪の上に広げ、彼女は祈る。
「せめてご心配はおかけしません。見守っているだけでは物足りなくなるような
賑やかで美しい都を――未来を、形作っていきますわ」
「歴史家が、この戦を辛勝でもなく、『勝利であった』といえますよう」
「いぜる」
「ねえ、いぜる。何処までいったの?」
黄昏色に染まる雲海の中空で、召喚師が問う。きっとあの激闘のあった場所。
エーテルに還った彼女が「いきつく」場所などたったひとつ。
わかっていても、認められずに。
「シヴァのエギを、生み出したら。貴女に会える?」
蛮神の力を制御し、使い魔とし、操るのが召喚師。
しかし、今彼女は知った。蛮神とは祈りとエーテルがもたらす偶像に過ぎぬと。
彼女の祈りが氷の乙女を蛮神として、使い魔として、手繰り寄せたとしても。
「それもまた氷結の幻想に過ぎない……よね」
それは今度は彼女が生む、ひとときの夢でしかない。
「あんまりだよ!オルシュファン様もエスティニアン様も、イゼルも、イゼルも……」
彼女を乗せる名のある竜は、ただ静かに彼女の慟哭を聞く。
彼女が思いっきり泣けるように、その心を阻害することないように。
「イゼルとも一緒に帰ってこれないなんて!」
いつしか涙声混じり、少女は叫ぶ。
幼子の駄々のようなその声で涙を振り払うように顔を振り。
「こんなの勝利って言えないよ――!」
『気は済んだか、娘』
「……ごめんなさい、ミドガルズオルム。我侭に付き合って貰っちゃって」
いつの間にか黄昏の雲は日の陰りと共に、薄闇を孕み柔らかな藍色となっていた。
静かな静かな雲海に、竜の羽ばたきの音だけが響く。
「……勝ったんだ。勝ち得たものは、あったんだ。そう思わないと、ちょっと辛過ぎるね。
その勝ち得たものを無駄にしない為にも私達は、進まなきゃね……」
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