作中の『カミサマ』とは、Articolato Rosatraum Waentbryda Sterwilfin White Mithra Oblige Saccade のプレイヤーのこと。
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周囲が皆、敵となる。
そんな状況、犯罪者で会ったとしても稀なこと。
ましてや、その敵が皆命を奪うつもりで此方を見ているだなんて。
そんな恐怖体験、他に体験するものがでるだろうか。
出ないだろうな、きっと。
【いくさびとの休日】
旅団『オラクル』
その中に存在する『アークス』なる組織の拠点船、アークスシップのひとつ
4番艦『アンスール』
ふらりと任務用の小型船であるキャンプシップに乗り込んでいく少女の影を、不安げに見送るクエスト管理官。
この船はいま、問題児を抱えていた。
其れがまさに、いま任務に出て行った少女だ。
長い金髪、未発達がちではあるが、ラインの美しい肢体。その背中には一丁の長銃を背負っているが、彼女のメインの獲物は大砲だ。
一見、普通の少女に見える彼女の……問題は、態度。
彼女はクエスト管理官からクエストを受けない。
いつもああやって直接キャンプシップに乗り込み、其処で無人の簡易カウンターから受けている。
彼女は、味方であるはずのアークスを、避けている。
「……本当に、放っておいていいんでしょうか」
「しゃあねえだろ、あいつ自身がそれを望んでんだ」
独りごちた管理官に返事を返す声。
気さくな男性の声だが、それが重役のものであると気付き、管理官は慌てて居住まいを正す。
「あー、そうあらたまんでも大丈夫だ。で、あいつは何処行きのクエストを受けた?」
「……惑星ハルコタンのようですね。またダーカーの殲滅に行かれるようです」
惑星ハルコタン。
独自の文化を築く惑星。
黒の民と、白の民。ふたつの国は不可侵。
しかしその均衡を、他者を侵食するダーカーという存在とその長ダークファルスが壊してしまった。
ダーカーが侵食するのは万物。
それゆえに余りにも危険で、何者とも相容れない。
人間だって侵食される。
アークスは、そのダーカーに対抗する為に作られた組織だ。
それだけが仕事、というわけではないが、その一員であるのだからダーカー討伐自体は何等おかしいことではない。
彼女において問題なのは、その頻度。
「ありがとうさん、そうか、またか……」
「本人の希望であり、ゼノ様の了承もある以上、野暮なのは分かっています……ですが、あまりに彼女は……」
クエスト管理官が、少女のクエスト履歴を開きながら漏らす。
朝から夜迄、ただひたすらダーカー討伐に関するクエストを繰り返している履歴。
それは専ら単独行動であることも記録されている。
「気持ちはわかるんだがな」
見せられた男性、アークスの司令塔である六芒均衡、『四』のゼノは困った声で返した。
「いまのあいつにしてやれることは、事故死しないよう見張らせてやるくらいだからな……」
元々、戦うことは好きな方だった。
かけひきはもっと好きで、戦技大会では大騒ぎしたものだ。
元々、ダーカーは嫌いだった。
全てを侵食して理性を奪い、仲間とするダーカーのやり口は何だか気に入らなかったのだ。
化け物はより高みを目指すうち、その姿かたちは人間に近付いていくものなのだと、友は言っていた。
何故人間なのかはわからない。
けれど、ダーカーの親玉であるダークファルスも同じ結論に至ったのかもしれない。彼らは専ら人間を侵食して我が身とする。
やはり其れが、気に食わなかった。
元々そんな人間だから、任務に没頭する日々は辛くない筈だと思っていた。
忙殺されていれば、独りも辛くないと思っていた。
「あれ、打ち止め?今日は呆気ないなあ」
惑星ハルコタンの白の民の街。
賽子のようなダーカーが黒い霧と散っていくのを私は見送る。
ただただダーカーと戦う日々は、相手が居なくなると、急に空虚で不安になる。
別に四六時中任務をしていなきゃいけない理由はないのだが、私にはアークスシップに長居したくない理由があった。
同業者、アークスに対する恐怖である。
詳しく人に語れる程、まだ心の傷は癒えていない。誰かに吐露することが出来たら、私の傷は癒えるのだろうか。けれど、アークスといえるアークスは殆どがみな、その一件を知っている。
視線を受けると身が竦む。
それに気付いてか、哀れみや心配の視線も絶えない。
そっと私から視線をそらすものも居れば、私に謝ろうと個人に宛がわれるマイルームまでやってきたものもいた。
私を、あの事件を、知らないものはいない。
その事実が私を苦しめる。
味方を味方と認識出来なくなってしまった我が身を、誰も彼も、悪いと思うことはなく、寧ろ哀れみ心配する。
味方に身構える罪悪感や、味方を敵視する恐怖もある。気まずくてとてもじゃないが、パーティは組めない。
視線が痛くて、人の居る場所にいられなくなった。
「居ないものは仕方ないや、他の任地に行こう」
アークスシップに戻る事無く、新たに別の任務を受ける。
惑星ナベリウス、森林のダーカー討伐だ。
惑星ナベリウスという星はダークファルスのうちの一神【巨躯】が封印されていた惑星。
今は封印が開放されてしまったが、それでもダーカーの数は多い。
キャンプシップから該当地域へは、テレプールと呼ばれる没入型転移装置で移動する。
テレプールに飛び込めば定められた座標へ降り立つ事ができるというわけだ。
該当地域へ到着したとのアナウンスがあり、同時にテレプールへの道も開かれる。
いざ降りたとうと、その目前に立ったとき……キャンプシップの船体が激しく揺れた。
「わわわ、まっず」
『マルカート!キャンプシップの様子が変だ、戻ってこれるかいっ』
慌てて手摺りを掴もうと手を伸ばす。
しかし、掴めたものはなく。
「ごめ、シャオ、無理……!」
私は座標も不確かなテレプールへと落ちていく。
鮮やかに明るい水色の光に、意識すら焼き落とされながら。
そんな状況、犯罪者で会ったとしても稀なこと。
ましてや、その敵が皆命を奪うつもりで此方を見ているだなんて。
そんな恐怖体験、他に体験するものがでるだろうか。
出ないだろうな、きっと。
【いくさびとの休日】
旅団『オラクル』
その中に存在する『アークス』なる組織の拠点船、アークスシップのひとつ
4番艦『アンスール』
ふらりと任務用の小型船であるキャンプシップに乗り込んでいく少女の影を、不安げに見送るクエスト管理官。
この船はいま、問題児を抱えていた。
其れがまさに、いま任務に出て行った少女だ。
長い金髪、未発達がちではあるが、ラインの美しい肢体。その背中には一丁の長銃を背負っているが、彼女のメインの獲物は大砲だ。
一見、普通の少女に見える彼女の……問題は、態度。
彼女はクエスト管理官からクエストを受けない。
いつもああやって直接キャンプシップに乗り込み、其処で無人の簡易カウンターから受けている。
彼女は、味方であるはずのアークスを、避けている。
「……本当に、放っておいていいんでしょうか」
「しゃあねえだろ、あいつ自身がそれを望んでんだ」
独りごちた管理官に返事を返す声。
気さくな男性の声だが、それが重役のものであると気付き、管理官は慌てて居住まいを正す。
「あー、そうあらたまんでも大丈夫だ。で、あいつは何処行きのクエストを受けた?」
「……惑星ハルコタンのようですね。またダーカーの殲滅に行かれるようです」
惑星ハルコタン。
独自の文化を築く惑星。
黒の民と、白の民。ふたつの国は不可侵。
しかしその均衡を、他者を侵食するダーカーという存在とその長ダークファルスが壊してしまった。
ダーカーが侵食するのは万物。
それゆえに余りにも危険で、何者とも相容れない。
人間だって侵食される。
アークスは、そのダーカーに対抗する為に作られた組織だ。
それだけが仕事、というわけではないが、その一員であるのだからダーカー討伐自体は何等おかしいことではない。
彼女において問題なのは、その頻度。
「ありがとうさん、そうか、またか……」
「本人の希望であり、ゼノ様の了承もある以上、野暮なのは分かっています……ですが、あまりに彼女は……」
クエスト管理官が、少女のクエスト履歴を開きながら漏らす。
朝から夜迄、ただひたすらダーカー討伐に関するクエストを繰り返している履歴。
それは専ら単独行動であることも記録されている。
「気持ちはわかるんだがな」
見せられた男性、アークスの司令塔である六芒均衡、『四』のゼノは困った声で返した。
「いまのあいつにしてやれることは、事故死しないよう見張らせてやるくらいだからな……」
元々、戦うことは好きな方だった。
かけひきはもっと好きで、戦技大会では大騒ぎしたものだ。
元々、ダーカーは嫌いだった。
全てを侵食して理性を奪い、仲間とするダーカーのやり口は何だか気に入らなかったのだ。
化け物はより高みを目指すうち、その姿かたちは人間に近付いていくものなのだと、友は言っていた。
何故人間なのかはわからない。
けれど、ダーカーの親玉であるダークファルスも同じ結論に至ったのかもしれない。彼らは専ら人間を侵食して我が身とする。
やはり其れが、気に食わなかった。
元々そんな人間だから、任務に没頭する日々は辛くない筈だと思っていた。
忙殺されていれば、独りも辛くないと思っていた。
「あれ、打ち止め?今日は呆気ないなあ」
惑星ハルコタンの白の民の街。
賽子のようなダーカーが黒い霧と散っていくのを私は見送る。
ただただダーカーと戦う日々は、相手が居なくなると、急に空虚で不安になる。
別に四六時中任務をしていなきゃいけない理由はないのだが、私にはアークスシップに長居したくない理由があった。
同業者、アークスに対する恐怖である。
詳しく人に語れる程、まだ心の傷は癒えていない。誰かに吐露することが出来たら、私の傷は癒えるのだろうか。けれど、アークスといえるアークスは殆どがみな、その一件を知っている。
視線を受けると身が竦む。
それに気付いてか、哀れみや心配の視線も絶えない。
そっと私から視線をそらすものも居れば、私に謝ろうと個人に宛がわれるマイルームまでやってきたものもいた。
私を、あの事件を、知らないものはいない。
その事実が私を苦しめる。
味方を味方と認識出来なくなってしまった我が身を、誰も彼も、悪いと思うことはなく、寧ろ哀れみ心配する。
味方に身構える罪悪感や、味方を敵視する恐怖もある。気まずくてとてもじゃないが、パーティは組めない。
視線が痛くて、人の居る場所にいられなくなった。
「居ないものは仕方ないや、他の任地に行こう」
アークスシップに戻る事無く、新たに別の任務を受ける。
惑星ナベリウス、森林のダーカー討伐だ。
惑星ナベリウスという星はダークファルスのうちの一神【巨躯】が封印されていた惑星。
今は封印が開放されてしまったが、それでもダーカーの数は多い。
キャンプシップから該当地域へは、テレプールと呼ばれる没入型転移装置で移動する。
テレプールに飛び込めば定められた座標へ降り立つ事ができるというわけだ。
該当地域へ到着したとのアナウンスがあり、同時にテレプールへの道も開かれる。
いざ降りたとうと、その目前に立ったとき……キャンプシップの船体が激しく揺れた。
「わわわ、まっず」
『マルカート!キャンプシップの様子が変だ、戻ってこれるかいっ』
慌てて手摺りを掴もうと手を伸ばす。
しかし、掴めたものはなく。
「ごめ、シャオ、無理……!」
私は座標も不確かなテレプールへと落ちていく。
鮮やかに明るい水色の光に、意識すら焼き落とされながら。
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