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作中の『カミサマ』とは、Articolato Rosatraum Waentbryda Sterwilfin White Mithra Oblige Saccade のプレイヤーのこと。  
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「成る程、実に災難でしたね」
「何から何まで世話になってしまい、申し訳ないな」
「貴女の身が損なわれる事より悪いことはありませんよ。職人はそのようなものでしょう?」

グリダニア、カーラインカフェ。
先に出会った双蛇党の呪術師に、護衛だけでなく商品を欠損してしまい、納品が遅れる事への執り成し迄して頂いてしまった。
槍を投げることを選んだのは咄嗟の選択だし仕方ないのだが、その投げた槍をそのまま納品するわけにはいかないからだ。

「本当に助かったよ、世話になった」
「ええ、貴方の作を楽しみにしています」
「ご無事で何よりですよ」

剣術士の青年と、呪術師の男性に深く頭を下げ礼を告げる。別れ際に、呪術師が耳元に囁いた言葉は、きっと彼なりのサービスだったのだろう。







彼女の銘 2/4







「そう、今年もそんな時期になったのね」


衣替え。
人々が服装を春夏用のものから秋冬用のものに切り替えるこの時期、双蛇党も形は違えど衣替えというべきものがあった。
春に入ってきた新兵達は、多くの場合この頃に入隊時に与えられていた武器や防具を取り替える。
其れからも半年毎に装備を新調する習慣を付けると、自然と双蛇党にとってもこの頃が衣替えとなってくるというわけだ。

「ああ、其れなのだがレア」
「何かしら、ボルセル」

基本的には、同じ都市にギルドを構える革細工ギルドや木工ギルドからの頂き物を当てることが多く、そうでなくても党単位で物資を購入するため、武器や防具を検めるという機会は少ない。

「お前と、お前のところの新兵……ジンとイタバシだったか。3人を指名して装備の提供があったのだ。2人を呼んできてくれるか」
「え、私?……と、ジンとイタバシ……?また妙な取り合わせね」

だが、其れにも例外はあって。
一部の党員は指名の元装備の提供があったり、逆に技師を指名して装備を作らせることがあるという。
其れが我が身にというのは意外なことであるが。

「分かったわ、今日は新市街を巡回しているはずだし……技師の方は?」
「後程改めて伺う、とのことだ。装備は其れまでに叶うなら見ておいて欲しいと」
「了解、じゃあ呼んでくるわ」

相手は一体誰なのか。
想像も付か無かったのだろう、首を傾げながらも隊の者を呼びに出る後輩の背を見送り、ボルセルもまた不思議そうな声色で呟いた。

「『神憑き』の、からとは……一体何をやったんだろうな……」

添えられた礼状に視線を下ろしながら。













「待たせたわね、ボルセル」    
「巡回任務中すまんな。衣替えはもう少し先だが、先立って個人より装備の寄付があった」

「衣替え?」
「普段着を秋冬用に変えるように、装備も点検・交換を行うのですよ」

用件を伝えず回収したのか、疑問の声を上げるジンに、イタバシがフォローを入れる。
その様子に取りあえず説明義務が不要である事を確認して、レアヌは尋ねた。

「私達を指名して、ってことよね。誰から?」
「“風の花嫁”より、感謝を込めて。とある」

ボルセルはそれに対して礼状を渡すことにした。
其れが一番説明として間違いが無いだろうと考えられたからだ。今でもそれなりに値が張る柔らかい白の紙に、偽造避けであろう、本来は魔術書などに用いられるエンチャントインクで丁寧に文字が綴られている。


『はじめまして、レアヌ・カトリィ様
 改めて伺うとは思いますが、先にご挨拶を。
 先日貴女様の部下である、ジン様、イタバシ様に救って頂きました。
 何か御礼をと思いましたが互いに忙しい身ゆえその時は言葉のみになり心苦しく思っていたところ、衣替えの話を伺いまして。
 人々を守る貴女と、貴女の守るこの森の助けになりますよう。
 風の花嫁より、感謝を込めて。
        Waentbryda Sterrwilfwyn』

「風の花嫁……」

命名規則はルガディンの、ゼーウォルフの女性のものだ。
冒険者のクラフターというのも、最近は少なくない。恐らく彼女もそのクチで、移動中に襲われたのを二人に助けられたのだろう。

「届けられた品なんだが……こいつだ」


オークラディカル。
オークの枝に、血と貝殻で呪いを施した両手用の幻具。
スチールファルシオン。
鋼製の流線の美しい素朴な刀。
アイアンカイトシールド。
鉄製の凧の形をとった、騎士には憧れでもある、控え目な装飾が目を引く盾。

銘は彼女のものだ。どれもが支給品では敵わない質と、心が込められているのが分かる。

「素晴らしいですね、流石はこの道で食っているだけあります」
「知ってるの?イタバシ」
「ええ、噂の多い人間ですので」

ボルセルが、もう一品包みから取り出すのに、イタバシは感嘆の溜め息を吐きながら視線を向けた。
其処にあったのは、一般の金属にない紫がかった黒い刃に、エーテルが奔っているかのように水色の輝きが線を引いている。

「例えば、滅びたアラグの金属の輝きを再現できるクラフターの一人だ、などと」


──私の隊長は先日槍を折りましてねぇ。今期は隊長も衣替えになりそうですよ。

「黒檀の柄に、ウーツ合金ときましたか……」
「ボ、ボルセル、これは……」
   



「ああ、此れも彼女からだ。心より先には折れぬ槍を、とお前にだそうだよ」
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