作中の『カミサマ』とは、Articolato Rosatraum Waentbryda Sterwilfin White Mithra Oblige Saccade のプレイヤーのこと。
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(幾つに分割するか未定ですが、メリルちゃんメインの書き直しです)
ここ暫く、ReCの在り方は変わりつつある。新しく冒険者になることを選択した、3人のミコッテを加えて、私達はかつて踏破した地に彼女らを加えて出掛ける事も多くなった。
三つの尻尾と新しい三者三様の声を五感に収めながら、仮宿のソファにもたれ掛かる、私。増えたのは彼女達だけ、という訳でもない。
私の隣、ソファの片隅に、背を預け縮こまっているエレゼンの女性の姿。居心地悪い、というよりは居たたまれなさそうな彼女の、室内でも未だ気にするのか被ったままのカウルのフードをそっと引っ張った。
ぱさりと落ちるフードに隠されていたピンクブロンドの髪、驚いて振り返るグレーの瞳。
「此処で素性を隠す必要は無いんだよ?」
言葉は返ってこない。未だ治療中の彼女は、申し訳なさそうに目を伏せて首を横に振った。
私はそんな彼女を抱きしめる。
今、彼女は未だ失声症を抱えている。メリル・ロアユとして名を知られている彼女が、失ったものは名前だけではなく、かつて私も苦しんだ場所に、彼女もまた立っている。
私がかつて、別の名で認識されぬ事を苦しんでいたように。彼女もまた――
彼女、エリヌ・ロアユもまた、自分の名が持つ立場にあれぬ事に苦しんでいる。
この世界には、この世界の、ちゃんとエリヌ・ロアユとして認識されているエレゼンの女性がいる。
では、このメリルちゃんは、というと。"死んだはず"の異世界のエリヌ・ロアユである可能性が高いのではないかと『カミサマ』は言う。
きっと、かつて『猫の私』がいたのもまた、異世界と呼べる世界であっただろうし、あまりにも非現実的ではあるもののその想定を否定する事は出来なかった。
「……本当に大丈夫なのかな」
私が彼女を見付けたのは、アルトちゃんと行った写本師捕縛作戦の帰りだった。アルトちゃんは写本師の護衛に同行し、報告はアルトちゃんのリテイナーのミスティカというミコッテさんがしてくれる事になった為、北ザナラーンの緩衝地を散歩していた。
その最中、強い血の匂いを感じた気がして……駆け寄ったダラガブの爪痕の影に、彼女は倒れていた。生と死の境を、まさに渡らんといったレベルの満身創痍。血濡れの彼女。発見がもう少し遅れていたら、発見者がヒーラーでなかったら、彼女は命を失っていたかもしれない。
よりによって、写本師騒ぎの真っ只中。私は彼女が人の目に晒される事を恐れた。リテイナーであるレイラ、マイラ、そして最近私に付き従ってくれるようになった鬼哭隊のル・ハイノ。彼女達の協力を得て、私はこの瀕死のエレゼンをラベンダーベッドの別宅へと連れ帰ったのだ。
この別宅は、後に正式にReCの仮宿になるのだけれども、それはもうちょっとだけ先の話。
懸命な治療の甲斐あって、彼女は峠を越し、命の危機は免れる事が出来た。未だ目を覚ますことのない、彼女を見て……わたしの御付きである鬼哭隊の衛士、ル・ハイノは懸念を呟く。
「しかし、余りにも……余りにも似すぎている。影武者等であれば一大事、他人の空似だとしても今存在を他人に知られようものなら」
「分かってるよハイノ」
他人の空似はまずないだろう、そう思わされる理由があったからこそ、とも言えた。彼女が纏っていた黒を基調としたハーネスは、あの写本師も好んで着ていたものだ。しかも、それは不滅隊の公式装束のひとつ、ウルダハンエリート。
「彼女が何者だとしても……折角助けた命だもの、護ってあげたい。その為には、この子の事は……」
隠して、あげなきゃ。
私はハイノと頷いた。
ここ暫く、ReCの在り方は変わりつつある。新しく冒険者になることを選択した、3人のミコッテを加えて、私達はかつて踏破した地に彼女らを加えて出掛ける事も多くなった。
三つの尻尾と新しい三者三様の声を五感に収めながら、仮宿のソファにもたれ掛かる、私。増えたのは彼女達だけ、という訳でもない。
私の隣、ソファの片隅に、背を預け縮こまっているエレゼンの女性の姿。居心地悪い、というよりは居たたまれなさそうな彼女の、室内でも未だ気にするのか被ったままのカウルのフードをそっと引っ張った。
ぱさりと落ちるフードに隠されていたピンクブロンドの髪、驚いて振り返るグレーの瞳。
「此処で素性を隠す必要は無いんだよ?」
言葉は返ってこない。未だ治療中の彼女は、申し訳なさそうに目を伏せて首を横に振った。
私はそんな彼女を抱きしめる。
今、彼女は未だ失声症を抱えている。メリル・ロアユとして名を知られている彼女が、失ったものは名前だけではなく、かつて私も苦しんだ場所に、彼女もまた立っている。
私がかつて、別の名で認識されぬ事を苦しんでいたように。彼女もまた――
彼女、エリヌ・ロアユもまた、自分の名が持つ立場にあれぬ事に苦しんでいる。
この世界には、この世界の、ちゃんとエリヌ・ロアユとして認識されているエレゼンの女性がいる。
では、このメリルちゃんは、というと。"死んだはず"の異世界のエリヌ・ロアユである可能性が高いのではないかと『カミサマ』は言う。
きっと、かつて『猫の私』がいたのもまた、異世界と呼べる世界であっただろうし、あまりにも非現実的ではあるもののその想定を否定する事は出来なかった。
「……本当に大丈夫なのかな」
私が彼女を見付けたのは、アルトちゃんと行った写本師捕縛作戦の帰りだった。アルトちゃんは写本師の護衛に同行し、報告はアルトちゃんのリテイナーのミスティカというミコッテさんがしてくれる事になった為、北ザナラーンの緩衝地を散歩していた。
その最中、強い血の匂いを感じた気がして……駆け寄ったダラガブの爪痕の影に、彼女は倒れていた。生と死の境を、まさに渡らんといったレベルの満身創痍。血濡れの彼女。発見がもう少し遅れていたら、発見者がヒーラーでなかったら、彼女は命を失っていたかもしれない。
よりによって、写本師騒ぎの真っ只中。私は彼女が人の目に晒される事を恐れた。リテイナーであるレイラ、マイラ、そして最近私に付き従ってくれるようになった鬼哭隊のル・ハイノ。彼女達の協力を得て、私はこの瀕死のエレゼンをラベンダーベッドの別宅へと連れ帰ったのだ。
この別宅は、後に正式にReCの仮宿になるのだけれども、それはもうちょっとだけ先の話。
懸命な治療の甲斐あって、彼女は峠を越し、命の危機は免れる事が出来た。未だ目を覚ますことのない、彼女を見て……わたしの御付きである鬼哭隊の衛士、ル・ハイノは懸念を呟く。
「しかし、余りにも……余りにも似すぎている。影武者等であれば一大事、他人の空似だとしても今存在を他人に知られようものなら」
「分かってるよハイノ」
他人の空似はまずないだろう、そう思わされる理由があったからこそ、とも言えた。彼女が纏っていた黒を基調としたハーネスは、あの写本師も好んで着ていたものだ。しかも、それは不滅隊の公式装束のひとつ、ウルダハンエリート。
「彼女が何者だとしても……折角助けた命だもの、護ってあげたい。その為には、この子の事は……」
隠して、あげなきゃ。
私はハイノと頷いた。
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