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作中の『カミサマ』とは、Articolato Rosatraum Waentbryda Sterwilfin White Mithra Oblige Saccade のプレイヤーのこと。  
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ビスマルクの高名な調理人、アルティコレートは趣味人である。調理は金の為にやっている訳ではない、ということだ。彼女は冒険者としての名声も、金も持っているからだろう。だから彼女は、金で動くことは稀である。他人の指名でスキレットを振るうなんてこと、もっての他。リムサ・ロミンサを統治する提督メルウィブ・ブルーフィスウィン、彼女ただ一人を除いては……

しかしまあ、顔も知れ、力もコネもある彼女。逆を言えば、その責任を思えば、簡単には断ることが難しいとも言える。
提督の指名しか受けないというのも、ひとつの脅しにしか過ぎない。違う方向であれば、彼女より金も権力もあるものはたくさんいる。

その日、ビスマルクに一人のメイドが訪ねてきた。あるウルダハの商人の使いであるという。ウルダハは金持ちが集まって国を纏めている国。人ひとりとは言え、面向かって雇用を望まれては断った時の影響がはかれない。何かを盾にとられたりする可能性すらある。

軍学者でもある、彼女はこう考えた……。この交渉、舞台に上るべきではない、と。
我が身の自由と信念を守るために。





「事前に店長が助言くださらなかったらどうなっていたことかしら」

メイドが訪ねてきたのは、わたくしの居ぬ間を狙ってのことでした。アポイントメントを取る気は見せながら、わたくしに対しては不意を突くつもりであったのです。
約束の日は翌日日中。わたくしにもし話が行ってなければ、わたくしはその日も調理場におり、その邂逅を回避する事は難しかったでしょう。

暗い闇に包まれたリムサの下甲板層へ、わたくしはビスマルクから降りていきました。夜間でも冒険者で賑わうエーテライト・プラザを、人目を避けるように商店街へと抜けていきました。

既に、逃げ先には連絡を入れ、それっぽい約束をでっち上げて頂いておりますが、なにかいい案は此方でも考えられないものか。


「……あれは」


マーケットの中腹から、漁師ギルドへ降りる橋を、逆に向かう影が知り合いのものであることに気が付きました。彼処からは、ミスト・ヴィレッジからの船も着いています、恐らくはアストの家からの帰りでしょうか。

雪のような白い髪が月の光に照らされているのを、少しいとおしいと思いながら。


「あら、良いところにサシャ!」「……お?」


石橋から木橋へと飛び下りながら声をかける。声に気付いたミコッテの女性……サシャ・フェンディの視線がわたくしを探し、捉える……その直前がタイムリミット。


「ごめん、一日付き合ってくださいまし!」
「きゃっ!?わ、わ、ちょっとアルティー?」


通りすがり際に脇に腕を差し込み、片腕を捕らえ。無理矢理に近い形でわたくしは彼女を連れ出した。きっと遠目にわたくしが見付けられても、ただの駆け落ちに見えたでしょう。



「船頭さん、お待たせしたわ!」「よう金糸の嬢ちゃん、主人から話はうかがってますぜ。今すぐ、でいいんだな」
「ええ、わたくしが抜け出したとばれる前に直ぐ!」


根回しのはやい連絡先で本当に助かった。あの人に対しては貸しも借りもあり、時々は気紛れに場にでる事もあるからか。


「どうしても、デートの相手が入り用だったの。ねえ、サシャ。今夜わたくしの恋人になってくださらない?」


小舟の行き先……それは、ラノシアのリゾート。


コスタ・デル・ソル。
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