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作中の『カミサマ』とは、Articolato Rosatraum Waentbryda Sterwilfin White Mithra Oblige Saccade のプレイヤーのこと。  
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どうせ憑依される日など来なさそうなので、折角設定は面白いのだし書いてみたのです。

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クォーリーミルからは大口の依頼が沢山来る。その為定期的に出向いて革製品や木工品などを納入している。木工はケヴァさんのすすめで始めたものであったが、これが中々に面白く今となっては趣味に留まらずこうやって個人的に依頼を請け負っても遜色ない品質を得るまでとなっていた。
その日もチョコボのアウストに荷物を預け、クァールと共に走り、商品を納入して、其れだけで一日が終わろうとしていた。



薄暗い夕闇が降りようとする中、私は徒歩でクォーリーミルを離れた。このあたりの魔物は然程脅威ではなく、好戦的なゴブリンや密猟者が面倒なくらい。

少し奥に入れば蝙蝠と猪が生息している、ウルズの泉へと繋がる。そう言えば最近ボアの皮を大量に使ったので数が足りなかった事を思い出す。悪いが少しわけて貰おうかと踏み出した。

ウルズの泉には、かつて、ある闘神が封じられていた事を、未だ私は知らないでいた。








「……これくらいあれば当分は十分だろう」

久しぶりに狩りで弓ではなく、剣を取る選択をしていた。ここ暫く、剣を取る機会そのものが多くてね。殆どは剣士としてというより、ナイトとして剣を取る訳なのだが今となっては剣もまた自分にとって身近な得物になっていた。

皮は駄目にならないようその場で後処理をし、ケッドと呼ばれる大型の蟲からは抱えていた血を掬い瓶に詰める。六識の血、と呼ばれるこの腫の溜め込む他種の血は、蟲の体液と混ざって自然と固まらない為錬金術の材料に使われる。


「しかし、此処は豊かだな。砂漠にはない、水と緑に溢れている」


好戦的なボアを避けて奥へと入り、ケッドもボアも少ない奥の水場に立つ大樹の麓に腰掛けた。最奥にはクリスタルのようなものがあり、傍らにはウォータースプライトが多数見受けられる。

豊かである、と思う。此処に限らず、黒衣森は非常に水と緑に溢れている。それは、ザナラーンの砂漠にはない豊かさで。

ただ消費するだけにしてはいけない。この森がずっとこの美しく豊かな森のまま……暮らしていけるような、節度を保った狩人であり、また生産者でありたい。


時間は過ぎる。夜の帳が降りると……僅かに深い紺の靄がかかっているようにも見えた。決して珍しい事ではないが、あまりいい傾向でもない。この黒衣森に、ある蛮神が出るのだ。その名をオーディン。先日の出没の際には私も居合わせ、討伐に参加したが正直二度も闘いたくは――


戻ろう。
本格的に淡いエーテルの光を発しだした靄に、急に気が急いた。
投げ出していた剣を取り、立ち上がり……そうして私はふと後ろを見た。ウルズの泉の、綺麗なクリスタルが其処にある。其れだけなのだが、ふと何かが其処にいるような気がしたのだ。目に見えるものは何もない。振り返って剣をしまい、踏み出そうとして……


身体は動かなかった。
焦る以上に、其れだけでは済まないことに気付かされる。
五感が急速に遠退いていく。自分のものではなく、誰かを通じて、或いは何かを通じて受けているような感覚に変じていく。これには既に覚えがあった。
まるで、『カミサマ』に憑かれたときのよう。だが、もっと自由度がなく、意志も目的も私には伝わってこない。




まるで、これでは。私が誰かの容れ物にされているようではないか。
『…次はオマエが…我が身体に……』
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『ソウルクリスタル』は多く、何らかの末裔たる証でもある。わたくしは既に学者のソウルクリスタルを持っているし、学者として戦う時は必ず身に付けている。分からぬ者には唯の石ころ、けれども、魂と記憶が残した結晶は持ち主に秘められた叡智を与える。
このシャトトの魔石もそうであろう事は見当がついていた。


ミルバネス礼拝堂に帰還したわたくしは躊躇う事なくシャトトの魔石をヤヤケさんに手渡した。書物上のそれと一致する上、魔力を持っているこの石。間違いなく、わたくしが持っていていいものではないと、そう思っていた。
その一方で、どうせ戻ってくるんだろうなと思っていたけれど。だってこの一件が無かったら、わたくしは既に呪術士をやめていたのだ。私は何かに引き止められているのだと――そう、抱かざるを得なかった。


人を呼びに礼拝堂を出ようとする、彼女の前で開け放たれていた扉が閉まる。ひとりでに。その様に私も思わず扉を睨む。

「それには及ばん」

響いた声は、ララフェルとはとても思えない。静かで力強い低音だった。

「大罪人ククルカ・タタルカ……!なぜここに! 釈放の許しがおりるはずが……!」

ヤヤケさんが癇癪のように叫ぶ。ククルカ・タタルカ。黒魔道士を名乗る大罪人。100年だなんて到底想像が付かないから、確かに気が触れていたっておかしくはない。
しかしそれを疑うのもまた怖いのは、シャトトの魔石の存在だった。

「『ヴォイドゲート』開かれしとき、大気は邪気に満ち、古の妖異が蘇らん……。
  これを閉ざすは『シャトトの魔石』を授かりし者……」


――この人は、ソウルクリスタルと……黒魔道士の証であると知っているのね。

漠然とした、そんな確信もあったから。だから予言の者として私の名を上げられたときも、いつの間にかシャトトの魔石が私の懐に入り込んでいた事に気付いた時も、其処まで驚きはしなかった。



「Articolate Rosatraum。その『シャトトの魔石』は黒魔法を操る術士の証。
 破壊の力を導く者として、『黒魔道士』を名乗るがよい」


――わたくしに、破壊者が務まるのかしら


ただただ、その重圧だけを抱いていた。


「「破壊の力」を恐れるでない。
そなたなら、その力を従え、
必ずや使命を果たすことができるであろう……」



不相応だと思い続けていたからこそ、私は必死になって黒魔法を、ひいては黒魔道士の鍛練を始めたのであった。


そうしてわたくしは黒魔道士のひとりとなった。
黒魔法を操る、ひとりの破壊者に。
アルティコレートがどんなやつか、だって?
そんなもの、今更私に聞くまでもないと思うのだが……まあいいか。


学者としてあいつを見てると真面目に見えるかも知れんが、あいつは戦闘中以外は本当に呑気だぞ。おまけに時間にルーズだし遅く迄寝てる事も多いし。わざわざ叩き起こしに行くことも結構ある。『カミサマ』のいる間はそんなことないから、多分あいつは寝たくて寝てるんだろうなあ。

ただそんなあいつも料理が絡むと別で、仕込みの為に早起きしてビスマルクにいた時は驚いた。あいつは『カミサマ』の影響で冒険者を始めたクチらしく、普段はリムサ・ロミンサかブロンズレイクで料理か裁縫をしているみたいだ。
ブロンズレイクで振る舞う屋台は結構盛況だと聞いたが、あんまり利益を考えていない値段とお洒落好きで服やアクセサリーをあれこれ買い揃える浪費癖の為に、あんまりお金はたまってないみたいだな……。
『カミサマ』がいるときは商機に敏感なのに、不思議なものだよ。

あいつはとんでもない嘘つきだ。気まぐれでころころと考えが変わる。彼女は私に何時も『貴女は誤魔化すのが本当に苦手ね、嘘のひとつふたつついてもいいのよ』というが、私はあいつに『たまには素直になってやれ、でないと報われないぞ』と伝えたい。弱味や不調を伝えるのも苦手で、動けなくなってはじめてバレるとか今に始まった事じゃない。
面倒くさいやつだと思う。嫌いにはなれないが。


アンテロープとラプトルを気に入っているようで、時折連れている処を見かける。彼女は学者だが、黒魔法も最近は学んでいたようで、移動時にアーリマンを呼び出す彼女は、まるで深淵に馴染んだ魔法使いのようである。
当人はヴォイドを心底嫌悪している事から、あのアーリマンはあいつにとって何かしら特別な縁があるのだろうなあ。
書きたかったけど前後の無さすぎる小ネタ集。

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『カミサマ』がいる間が別に私達の冒険の全てではない。だから、たまにはこんなこともある。




「何しーてるーのー?」
「いや、まあ……流石に暇でな……」
「変なのーするとー、おこーる、よー?」
「得物がないから抵抗は出来ぬよ」


それーもそーだなー。
間延びした見張りの声、苦笑いを返すしかない。見張られているのは他ならぬ私である。

場所は定かではないが、コボルト族達の基地とみて間違いないだろう。クァールと別行動で新しい形状の弓のテストも兼ねて狩りを行っていたのだが……

視野外から投げ付けられた煙玉の煙をまともに吸い込んだ結果がこれである。幸い、武器は取られたがそのなかにレリック等の希少品はない。防具も知人手製の狩衣だからか私が件の冒険者であることにも気付かれていないようだ。


「それでー、なーにしてるーの?」
「木工細工、というべきかな。実用性の無い飾りだが作るのは意外と楽しいものでね」


不思議と、命の危険は抱かなかった。タイタンのテンパード、という話はあまり聞いたことがないが殺す意思が無いことは見てとれるからである。


それに……

低く、力強い唸り声が響く。
その声が怒気を含んでいるように感じて、私は少しばかり嬉しくなった。弓が作り直しなのは勿体無いが、命に代えられるものではない。にわかに騒がしくなる様相を耳で聞きながら、私は声をあげた。



「此処だ、クァール!」

悪いが、武器は弓だけではないのだよ。






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「パーティ結成完了、と……お?」


同じ目的の冒険者を集め、半自動でパーティを組む。相手が見付かった事を示すアナウンスに応じて私は目的地へとテレポした。
その私が最初に見たものは……


「よろしく?」
「宜しくね」
「宜しくお願いしまっす!」


見上げる三組の瞳。
なんとまあ、組んだ仲間がまさかの全員ララフェルではないか。

「あ、ああ……宜しく頼む」


まるで緊張など無かったかのように感じ、少し気が抜ける私であった。


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朝の人気の少ないリムサのエーテライト・プラザ。其処にテレポの余韻も程々に、奥の坂をかけ上がる影ひとつ。その影に寄り添う光ひとつ。


(まっず、今日は御指名あるのにこのたいたらく……!)


焼きたてのパンを口にくわえて、片手で支えてもぞもぞしながらもう片手は帽子を支え、金髪を風に任せたまま。
普段リムサには余り数の見られないしなやかな長身を持つエレゼンの女性の姿を、地元のルガディン達は不思議そうに見送った。



「マスター、おはよう御座いますわっ!」
「よう、やっと来たかこのお寝坊学者。序でに未だアーティファクトのまんまで視線集めてたぞ?」
「げぇっ……今着替えますっ!?」
未だ開店前のビスマルク。
そのギルドマスターと一人のエレゼンのギルド員の割と何時ものやり取り。紺の料理師衣装に着替える彼女を、仲間達は微笑ましく見つめていた。
彼女が料理人として雲の上になろうが、冒険者として英雄になろうが、変わらない。何時ものやり取り。
「此処暫くは優秀な弟子が居たからね。お陰様で集中できたのさ」
「ほう、何時かの品評会に出たという革細工師でありますかな?御会いしたいものですなぁ、今はおいでに?」
「ついさっき迄いたんだがね……時間だ、って去ってったよ」

「どちらにせよ、今頃の彼女は別人だろうからね。居たらその時は……」

まさかこんな時間に急に降りてくる予兆を抱くとは思っていなかった。革細工ギルドを離れ、人気のないグリダニアの細道で一息を付く。関わっていれば何時か知れる事ではあるし、事実としてギルドマスターのケヴァさんや一部にはその謎の体質(?)も知られてはいるのだが、何時も決まって私は『カミサマ』を人気のない場所で待つ。

不便がないわけではないし、昼夜を問わず冒険を望まれるから、大抵は憑依が解けると数日寝込む羽目になる。健康に良いか悪いかと言われたら間違いなく悪いだろうし、寝ない人間は早死にするともいう。

それでも憑依に従うのは……

(今日は、バハムートの迷宮に行くのか……)

『カミサマ』は私がするより上手く私の身体を扱って、私一人では行けない冒険に私を連れ出していく。何処からともなく人の伝手を見付け出し、知らぬ運命を手繰り寄せる。

(しかし、聞いたこともない。このところクリスタルタワーに誘って来たり、アルトに装備を工面させたり、妙に私を強化しようとしていたのは分かるのだが……)

「まあ、取り敢えずはレヴナンツトールに行ってから考えることにしようか」

結局は、私の冒険者と言うことなのかもしれない。所謂性と言うものだな。

レヴナンツトールとは、モードゥナに存在する冒険者の拠点である。

そびえるアラグ帝国の遺産、クリスタルタワー。ガレマールの技術の塊アグリウス。それと心中したミドガルズオルム。更にはクリスタルが大量に産出されるという土地柄もある。

かつては、観光地だったらしいがその面影は微塵もない。代わり、此処には価値ある多くのものが眠っているのだ。私達は冒険者であると同時に開拓者であるとも言えよう。

仲介役の商人が滞在し、エーテライトが他に無く、酒場や暁の血盟の新しい本拠があることもあり、レヴナンツトールは冒険者同士のパーティ募集で賑わう。

(まだ概要も見えてこないが……経験者を募集ばかりだな。其れほど迄に難しい地であるということか)

『カミサマ』がパーティ募集のシャウトに耳を傾けているのを感じながら、私はしばらくタイニークァールの背中を撫でていた。

『カミサマ』の入れ知恵で、経験者でないにも関わらずそのような募集のひとつに混ざる事となった。少し申し訳無く感じていると、『カミサマ』は身を任せてくれれば大丈夫だと笑ったような気がした。

こういうとき、恐らく望めば『カミサマ』は、アルティコレートと挑んだ記憶の数々を私に見せてくれるのだろう。だが私はそうすることはない。やはり、この目で確かめたいと、改めてそう思えば、『カミサマ』はもう一度嬉しそうに笑ったような、そんな気がした。

パーティが円滑に連携行動をとる為に、私達はパーティ通信用のリンクパールを所持している。

パーティを組めば自動的に設定されるその利便性の高さは冒険者の殆どが利用している必需品だ。

「ウェントブリダ、詩人だ。宜しく頼むよ」

「よろしく~」

「よろしくお願いします」

「よろしくです」

リンクパールに触れながら、私は挨拶の言葉を呟いた。パーティに新たなメンバーが加わった事は直ぐに通達されたのか、向こうからも挨拶の言葉が返ってくる。

パーティ構成は……ナ竜詩黒黒白学か。

もう一人のタンクは、ナイトさんが知人のナイトを連れてくるとのこと。ワインポートに集合と言うことで、私は同じくレヴナンツトールでシャウトを聞いていたのだろうパーティメンバーのテレポに相乗りする形で転移した。

ワインポートは、名の通りワインの港、ワインの発信地として発展を遂げた地である。街にはブドウ畑も広がり、その一角には厳重な扉の向こう未だ若いブドウの樹を見ることも出来る。

しかし、私達冒険者はワインを目的としてではなく、また別の目的があってこの地に集まることが多い。

「ウェントブリダさん、こっちですよ」

「ああ、助かる」

ワインポートにテレポした私に手招きしてみせるナイトのミコッテ。

私に背を向け、入り口の方向へと走り出すと青と白の鎧からまろびでているその尻尾がふわふわと揺れていた。

ワインポートを出ると、カストルム・オクシデンスが遠目に見える。更にその傍らにそびえ立つ橙色のクリスタル。

いわゆる偏属性クリスタルに圧倒されて、準備が整うまでそれを見上げてみる。ワインポートの前には一際大きい岩があるのだが、気が付いたら先程のナイトさんも隣に腰かけてクリスタルを見上げていた。

目的地はあのクリスタルの丁度地下。

バハムートを封印していた巨大な拘束具『衛星ダラガブ』。その一部が地に深く突き刺さり、それによってあのようなクリスタルが吹き出したのだとアリゼーは言う。

クリスタルはエーテルの塊。

そしてエーテルは星の資源である。

まるで星の悲鳴か、流血か、涙か。そのようだと、黒魔道士が呟いた。

アリゼーが協力を取り付けたという黒渦団の兵士の案内を得て中へと入れば、黒魔道士の呟きがまるで真であるかのような風景であった。既に今回はこの層の最終ボスを除いた障害は取り除かれているらしい。

お陰でメンバーの案内のもと、ゆっくりとまわりを見て回ることができた。

帝国がかけたのであろう、金属製の黒い橋を渡り、まるで粘性の高い物体が、六角形を基本とする柱を芯として根を張ったかのような独特な雰囲気を持つ空間に降り立つ。ガードであるアラグの防衛機構があったという空洞の向こうには、飛竜の翼のようなものが、同じように偏属性クリスタルに絡み付かれ、覆われていた。

これ迄クリスタルと言えば結晶であった。クリスタルはエーテルの塊なのだから、別におかしい事ではない。けれども、これ程までに曲線に溢れたクリスタルの姿を見たことがあっただろうか。

これだけ見ていると、まるで琥珀のようだと思わされた。

光も差さぬ深い地下は、この琥珀の輝きに照らされていた。
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