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作中の『カミサマ』とは、Articolato Rosatraum Waentbryda Sterwilfin White Mithra Oblige Saccade のプレイヤーのこと。  
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「此処暫くは優秀な弟子が居たからね。お陰様で集中できたのさ」
「ほう、何時かの品評会に出たという革細工師でありますかな?御会いしたいものですなぁ、今はおいでに?」
「ついさっき迄いたんだがね……時間だ、って去ってったよ」

「どちらにせよ、今頃の彼女は別人だろうからね。居たらその時は……」

まさかこんな時間に急に降りてくる予兆を抱くとは思っていなかった。革細工ギルドを離れ、人気のないグリダニアの細道で一息を付く。関わっていれば何時か知れる事ではあるし、事実としてギルドマスターのケヴァさんや一部にはその謎の体質(?)も知られてはいるのだが、何時も決まって私は『カミサマ』を人気のない場所で待つ。

不便がないわけではないし、昼夜を問わず冒険を望まれるから、大抵は憑依が解けると数日寝込む羽目になる。健康に良いか悪いかと言われたら間違いなく悪いだろうし、寝ない人間は早死にするともいう。

それでも憑依に従うのは……

(今日は、バハムートの迷宮に行くのか……)

『カミサマ』は私がするより上手く私の身体を扱って、私一人では行けない冒険に私を連れ出していく。何処からともなく人の伝手を見付け出し、知らぬ運命を手繰り寄せる。

(しかし、聞いたこともない。このところクリスタルタワーに誘って来たり、アルトに装備を工面させたり、妙に私を強化しようとしていたのは分かるのだが……)

「まあ、取り敢えずはレヴナンツトールに行ってから考えることにしようか」

結局は、私の冒険者と言うことなのかもしれない。所謂性と言うものだな。

レヴナンツトールとは、モードゥナに存在する冒険者の拠点である。

そびえるアラグ帝国の遺産、クリスタルタワー。ガレマールの技術の塊アグリウス。それと心中したミドガルズオルム。更にはクリスタルが大量に産出されるという土地柄もある。

かつては、観光地だったらしいがその面影は微塵もない。代わり、此処には価値ある多くのものが眠っているのだ。私達は冒険者であると同時に開拓者であるとも言えよう。

仲介役の商人が滞在し、エーテライトが他に無く、酒場や暁の血盟の新しい本拠があることもあり、レヴナンツトールは冒険者同士のパーティ募集で賑わう。

(まだ概要も見えてこないが……経験者を募集ばかりだな。其れほど迄に難しい地であるということか)

『カミサマ』がパーティ募集のシャウトに耳を傾けているのを感じながら、私はしばらくタイニークァールの背中を撫でていた。

『カミサマ』の入れ知恵で、経験者でないにも関わらずそのような募集のひとつに混ざる事となった。少し申し訳無く感じていると、『カミサマ』は身を任せてくれれば大丈夫だと笑ったような気がした。

こういうとき、恐らく望めば『カミサマ』は、アルティコレートと挑んだ記憶の数々を私に見せてくれるのだろう。だが私はそうすることはない。やはり、この目で確かめたいと、改めてそう思えば、『カミサマ』はもう一度嬉しそうに笑ったような、そんな気がした。

パーティが円滑に連携行動をとる為に、私達はパーティ通信用のリンクパールを所持している。

パーティを組めば自動的に設定されるその利便性の高さは冒険者の殆どが利用している必需品だ。

「ウェントブリダ、詩人だ。宜しく頼むよ」

「よろしく~」

「よろしくお願いします」

「よろしくです」

リンクパールに触れながら、私は挨拶の言葉を呟いた。パーティに新たなメンバーが加わった事は直ぐに通達されたのか、向こうからも挨拶の言葉が返ってくる。

パーティ構成は……ナ竜詩黒黒白学か。

もう一人のタンクは、ナイトさんが知人のナイトを連れてくるとのこと。ワインポートに集合と言うことで、私は同じくレヴナンツトールでシャウトを聞いていたのだろうパーティメンバーのテレポに相乗りする形で転移した。

ワインポートは、名の通りワインの港、ワインの発信地として発展を遂げた地である。街にはブドウ畑も広がり、その一角には厳重な扉の向こう未だ若いブドウの樹を見ることも出来る。

しかし、私達冒険者はワインを目的としてではなく、また別の目的があってこの地に集まることが多い。

「ウェントブリダさん、こっちですよ」

「ああ、助かる」

ワインポートにテレポした私に手招きしてみせるナイトのミコッテ。

私に背を向け、入り口の方向へと走り出すと青と白の鎧からまろびでているその尻尾がふわふわと揺れていた。

ワインポートを出ると、カストルム・オクシデンスが遠目に見える。更にその傍らにそびえ立つ橙色のクリスタル。

いわゆる偏属性クリスタルに圧倒されて、準備が整うまでそれを見上げてみる。ワインポートの前には一際大きい岩があるのだが、気が付いたら先程のナイトさんも隣に腰かけてクリスタルを見上げていた。

目的地はあのクリスタルの丁度地下。

バハムートを封印していた巨大な拘束具『衛星ダラガブ』。その一部が地に深く突き刺さり、それによってあのようなクリスタルが吹き出したのだとアリゼーは言う。

クリスタルはエーテルの塊。

そしてエーテルは星の資源である。

まるで星の悲鳴か、流血か、涙か。そのようだと、黒魔道士が呟いた。

アリゼーが協力を取り付けたという黒渦団の兵士の案内を得て中へと入れば、黒魔道士の呟きがまるで真であるかのような風景であった。既に今回はこの層の最終ボスを除いた障害は取り除かれているらしい。

お陰でメンバーの案内のもと、ゆっくりとまわりを見て回ることができた。

帝国がかけたのであろう、金属製の黒い橋を渡り、まるで粘性の高い物体が、六角形を基本とする柱を芯として根を張ったかのような独特な雰囲気を持つ空間に降り立つ。ガードであるアラグの防衛機構があったという空洞の向こうには、飛竜の翼のようなものが、同じように偏属性クリスタルに絡み付かれ、覆われていた。

これ迄クリスタルと言えば結晶であった。クリスタルはエーテルの塊なのだから、別におかしい事ではない。けれども、これ程までに曲線に溢れたクリスタルの姿を見たことがあっただろうか。

これだけ見ていると、まるで琥珀のようだと思わされた。

光も差さぬ深い地下は、この琥珀の輝きに照らされていた。
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