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作中の『カミサマ』とは、Articolato Rosatraum Waentbryda Sterwilfin White Mithra Oblige Saccade のプレイヤーのこと。  
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余り、リムサ・ロミンサの地にエレゼンの姿は馴染みがない。今は日中は冒険者の姿を散見するとはいえ、日が沈めば冒険者ギルドを除いてはその姿は稀となる。
そんな折、リムサ・ロミンサの入口と言ってもよいブルワークホールは厳重警戒が敷かれていた。客人の中身を思えば当然とも言える厳戒体制の中、金髪の調理師姿のエレゼンがアドミラルブリッジの奥へと姿を消していく。
それを咎める者は誰も居ない。彼女が誰で、何者であるかは黒渦の皆のよく知る処であり、そしてまた何故この場に彼女がいるのかも、容易に想像がつくからであった。
羨望からか、一人の黒渦の兵士であるミコッテが溜め息をつく。直後、彼女の耳は空を切る何かの音を捉えて視線を上げた。原因である、麻の小袋を反射的に捉えて拡げると、その中には堅焼きのクッキーが数枚納められていた。

慌てて見やれば、エレゼンの調理師がその姿をみてさぞ面白そうに笑っている。いつの間にか羨望の視線はミコッテの兵士の方に向いていた。

「好きになさい」


俄に兵士達が騒がしくなるが、調理師が二度兵士達を振り返る事はなかった。










黒渦団の一員であることを、意識する事は滅多にない。稀代の調理師であるかのように、持て囃されていることは知っている。この地がウルダハでなくて本当に良かったとわたくしは思う。でなければ、権力者の求めに応えるしかない日々が直ぐ其処に迫っていただろうし、先のように気紛れで贈るなんて事は許されない事だろう。
提督でなければ、わたくしを拘束することは敵わない。そんな見立てがわたくしの自由を守っているのは重々承知の上だ。
だからこそ、提督の求めには唯一必ず応えることにしている。


しかし、今日の子も驚く顔の可愛かったこと。出来る限り新参の兵士やこの悪戯を知らなさそうな相手を狙って菓子を投げ渡すのは、わたくしの密かな楽しみだ。提督に呼ばれる場の殆どではわたくしとて武装解除をしている都合、教われては無事に済まない。貴人として護衛される礼のつもりもまたある。

「……しかし、相手が相手では懇談会の気分ね」

今日料理を振る舞う相手を思い、苦笑い。付け慣れない眼鏡のズレを直してから、わたくしは腰のスキレットに触れた。

未だ、真新しいスキレット。アーティザンと呼ばれる、ある高名な職人の作である。間に合って良かったと、心底思う。

「最高のディナータイムを。今夜を忘れられない思い出にしてあげますわ」
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