作中の『カミサマ』とは、Articolato Rosatraum Waentbryda Sterwilfin White Mithra Oblige Saccade のプレイヤーのこと。
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「貴女は……?」
正直なところ、その先には身を隠す悪党か随分と力のある道士が居るであろう姿を思い浮かべていたレアヌ。
その先にいた姿が、少女と言っても可笑しくないあどけなさで迎えてくるとは思ってもおらず拍子抜けた表情が表に出る。
辛うじて絞り出た誰何の言葉にも、そのペースを崩すことなく少女は答えた。
「わたし?アンフェルツィートだよ」
少女の視線が、2人の目線を離れ、2人の服に移る。好奇の目を輝かせた彼女が、双蛇党の仕事中であることを労い、また目的を問うてやっと、当初の目的を思い出すことが出来た。
なにをしているの?
そう無邪気に問う姿が、情報源になるかと言われると思えずにいられない。そんな雰囲気に呑まれそうになりながら、その問いに答えようとはして、気が付く。
アンフェルツィート、というその名が指す存在の意味に。
「……キミが!?あの鬼哭の護衛を撒いたっていう」
どうやらカスリも同じ結論に気が付いたようだ。信じられないような気持ちを抱きながら、レアヌも重ねて尋ねる。
「本当に貴女が道士アンフェルツィート、なのね?」
少しだけ驚いた表情をして、それから彼女は困ったような笑顔のまま頷いた。
その答えは肯定。
「貴女を探していたの、鬼哭の知人の依頼で」
「そっか、ハイノちゃんから……」
アンフェルは、そう呟きながらカウルのフードを外した。その中身に、レアヌとカスリは二度息を呑むこととなった。
褐色肌の彼女の持つ耳がエレゼンの長耳であることに。
彼女の褐色の肌は、暗所に適応したシェーダーが、不慣れな光に肌を焼かれぬよう得た特徴。彼女の始祖は今も地下に眠るゲルモラの民。それは精霊を恐れ続ける事を選んだ者達。
「驚く、よね。今は地上に暮らすシェーダーも多いし、特徴を失う人も多いけど。私のは色濃いし、何より」
その彼女が、人と精霊を橋渡しする道士であるという事実。彼女が道士に相応しくなければ、彼女はすぐさまに精霊の怒りに触れ鬼となるかその身は無事でも幻術の力は失うことだろう。
精霊もまた、彼女が道士であることを許容している。
「精霊評議会の為、だよね。でも、その様子だとそんなに重大な事のようには言われなかったよね?私のこと」
2人が頷くと、彼女は皮肉を嗤うかのような、自虐に満ちた笑顔を浮かべた。
「私、居ても居なくてもおなじなんだ。精霊の声が聞けないから」
微かな滝の音の音色を背中に、暫しの時間を過ごす。変わり者の道士との、のどかな語らい。気付けばカスリなんかは、彼女と同じように素足を川に浸して、澄んだ清流を跳ねさせていた。
「……でも、心配そうに見えたよ?ハイノ」
「そだね、ハイノちゃんは優しいから」
きっと、道士はもっと恐れ多いものなのかも知れない。けれど、冒険者であり、お転婆にも見える彼女の姿はカスリにはとても親しみやすいものに見えた。
「何時もこうしてるの?」
「そーだなー。そして何時も日没頃にね、ハイノちゃんに見付かってどやされるの」
くすり、と笑う彼女は無邪気で悪戯っぽく見えた。先の自虐のような笑みとは違い、楽しんでいるように見える。最初に抱かされたほど、彼女は悲観している訳でもないと、二人には伝わった。
「よしっ、今日は少しはやいけど帰るの!心配は要らないと思うけど……」
「護衛は任せて!ハイノも諌めてあげるしっ」
「ちょっとカスリ、確約できない事をそんな軽く……」
たしなめようとするレアヌの目の前で、能天気に談笑するカスリと其れに目を細め幸せそうに応答するアンフェルの姿が繰り広げてられていて。
「……自己責任よ?」
苦笑いしながらも、悪くないといった声色で制止を諦めるレアヌであった。
正直なところ、その先には身を隠す悪党か随分と力のある道士が居るであろう姿を思い浮かべていたレアヌ。
その先にいた姿が、少女と言っても可笑しくないあどけなさで迎えてくるとは思ってもおらず拍子抜けた表情が表に出る。
辛うじて絞り出た誰何の言葉にも、そのペースを崩すことなく少女は答えた。
「わたし?アンフェルツィートだよ」
少女の視線が、2人の目線を離れ、2人の服に移る。好奇の目を輝かせた彼女が、双蛇党の仕事中であることを労い、また目的を問うてやっと、当初の目的を思い出すことが出来た。
なにをしているの?
そう無邪気に問う姿が、情報源になるかと言われると思えずにいられない。そんな雰囲気に呑まれそうになりながら、その問いに答えようとはして、気が付く。
アンフェルツィート、というその名が指す存在の意味に。
「……キミが!?あの鬼哭の護衛を撒いたっていう」
どうやらカスリも同じ結論に気が付いたようだ。信じられないような気持ちを抱きながら、レアヌも重ねて尋ねる。
「本当に貴女が道士アンフェルツィート、なのね?」
少しだけ驚いた表情をして、それから彼女は困ったような笑顔のまま頷いた。
その答えは肯定。
「貴女を探していたの、鬼哭の知人の依頼で」
「そっか、ハイノちゃんから……」
アンフェルは、そう呟きながらカウルのフードを外した。その中身に、レアヌとカスリは二度息を呑むこととなった。
褐色肌の彼女の持つ耳がエレゼンの長耳であることに。
彼女の褐色の肌は、暗所に適応したシェーダーが、不慣れな光に肌を焼かれぬよう得た特徴。彼女の始祖は今も地下に眠るゲルモラの民。それは精霊を恐れ続ける事を選んだ者達。
「驚く、よね。今は地上に暮らすシェーダーも多いし、特徴を失う人も多いけど。私のは色濃いし、何より」
その彼女が、人と精霊を橋渡しする道士であるという事実。彼女が道士に相応しくなければ、彼女はすぐさまに精霊の怒りに触れ鬼となるかその身は無事でも幻術の力は失うことだろう。
精霊もまた、彼女が道士であることを許容している。
「精霊評議会の為、だよね。でも、その様子だとそんなに重大な事のようには言われなかったよね?私のこと」
2人が頷くと、彼女は皮肉を嗤うかのような、自虐に満ちた笑顔を浮かべた。
「私、居ても居なくてもおなじなんだ。精霊の声が聞けないから」
微かな滝の音の音色を背中に、暫しの時間を過ごす。変わり者の道士との、のどかな語らい。気付けばカスリなんかは、彼女と同じように素足を川に浸して、澄んだ清流を跳ねさせていた。
「……でも、心配そうに見えたよ?ハイノ」
「そだね、ハイノちゃんは優しいから」
きっと、道士はもっと恐れ多いものなのかも知れない。けれど、冒険者であり、お転婆にも見える彼女の姿はカスリにはとても親しみやすいものに見えた。
「何時もこうしてるの?」
「そーだなー。そして何時も日没頃にね、ハイノちゃんに見付かってどやされるの」
くすり、と笑う彼女は無邪気で悪戯っぽく見えた。先の自虐のような笑みとは違い、楽しんでいるように見える。最初に抱かされたほど、彼女は悲観している訳でもないと、二人には伝わった。
「よしっ、今日は少しはやいけど帰るの!心配は要らないと思うけど……」
「護衛は任せて!ハイノも諌めてあげるしっ」
「ちょっとカスリ、確約できない事をそんな軽く……」
たしなめようとするレアヌの目の前で、能天気に談笑するカスリと其れに目を細め幸せそうに応答するアンフェルの姿が繰り広げてられていて。
「……自己責任よ?」
苦笑いしながらも、悪くないといった声色で制止を諦めるレアヌであった。
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森の都グリダニアを南から出ると、其処には比較的密度の浅い森が広がっている。
一般に中央森林と呼ばれているこの地域はスプリガンの巣にさえ寄らなければ危険な魔物も多くなく、多少の心得のある人間にとっては散策に向いた森へと変わる。
黒衣森の中では一際大きいこの地域。捜索は難航していた。
「かくれんぼには広すぎよ……」
「うう、ハイノこれ全然ちょっとしたお願いじゃないよー……」
巡回任務自体を中止するわけにも行かず、捜索はレアヌとカスリの二人で行っていたのも難航の一因だった。聞き込みも行ったものの、行方を知る者もいなかった。
幾つかある木製の橋の上、カスリが座り込むのに合わせて二人は一休みする事にした。
橋の下を、ささやかな音を立てて清水が流れている。
グリダニアの黒衣森は豊かな自然もそうだが、清らかな水にも恵まれている。
この橋の下を通る川はこの北にある小さな滝から中央森林に流れ込み、南方へ流れ、ベントブランチで折り返して、北方、更にはグリダニアの湖に注いでいる。
「一体何処に行ったのかしら……」
「中央森林は広いですもんねー……あれ?」
カスリは耳を傾ける。平和な中央森林は人気も少なく、化けキノコが位置を変える為、時々草を踏む以外は、水の流れる音がするだけだ。
橋の北側を振り返れば、遠からぬ先に小さな滝が流れているのが見える。
「滝の音が、聞こえない……?」
「え?」
カスリの呟きに、レアヌもまた耳を傾けた。
余りにも静かでのどかすぎて、かえって気付かなかったその違和感。
「行ってみましょう、この近さで聞こえないのは流石に不自然よ」
近付いていくと、やがて滝の音が世界に戻る。
途切れる事無く音を奏でる滝の傍ら、岩に腰掛け気持ち良さそうに水を蹴る人の影。
「あや?こんにちは?」
羊毛のカウルなのか、自然な白を纏った銀髪の少女。
サンダルを履いた褐色の脚を水に濡らしながら彼女は二人に曖昧に笑いかけた。
一般に中央森林と呼ばれているこの地域はスプリガンの巣にさえ寄らなければ危険な魔物も多くなく、多少の心得のある人間にとっては散策に向いた森へと変わる。
黒衣森の中では一際大きいこの地域。捜索は難航していた。
「かくれんぼには広すぎよ……」
「うう、ハイノこれ全然ちょっとしたお願いじゃないよー……」
巡回任務自体を中止するわけにも行かず、捜索はレアヌとカスリの二人で行っていたのも難航の一因だった。聞き込みも行ったものの、行方を知る者もいなかった。
幾つかある木製の橋の上、カスリが座り込むのに合わせて二人は一休みする事にした。
橋の下を、ささやかな音を立てて清水が流れている。
グリダニアの黒衣森は豊かな自然もそうだが、清らかな水にも恵まれている。
この橋の下を通る川はこの北にある小さな滝から中央森林に流れ込み、南方へ流れ、ベントブランチで折り返して、北方、更にはグリダニアの湖に注いでいる。
「一体何処に行ったのかしら……」
「中央森林は広いですもんねー……あれ?」
カスリは耳を傾ける。平和な中央森林は人気も少なく、化けキノコが位置を変える為、時々草を踏む以外は、水の流れる音がするだけだ。
橋の北側を振り返れば、遠からぬ先に小さな滝が流れているのが見える。
「滝の音が、聞こえない……?」
「え?」
カスリの呟きに、レアヌもまた耳を傾けた。
余りにも静かでのどかすぎて、かえって気付かなかったその違和感。
「行ってみましょう、この近さで聞こえないのは流石に不自然よ」
近付いていくと、やがて滝の音が世界に戻る。
途切れる事無く音を奏でる滝の傍ら、岩に腰掛け気持ち良さそうに水を蹴る人の影。
「あや?こんにちは?」
羊毛のカウルなのか、自然な白を纏った銀髪の少女。
サンダルを履いた褐色の脚を水に濡らしながら彼女は二人に曖昧に笑いかけた。
(光の戦士は実在して、プレイヤーが『カミサマ』として憑依してるという設定)
終わりが始まりである、とはよくいったものだ。
時には心を曇らせたまま、時には超常の力を私達に丸投げして。
何時にもなく憂鬱な『カミサマ』との旅。
それもそう、なのかもしれない。
――歴史を動かすものってのは、何時だって疫病神だから。
『カミサマ』はそういって、旅路のなか、何度も私達に停滞を薦めた。
今なら止まれる、と。今なら失わなくて済むかもしれないと。
――私達は生きているのだ、どうせいつか死ぬのだよ。
私はそう返したのだったか――
祝賀の席。
私達、光の戦士には――他者に見せられるような笑顔はなく。
密やかに祝賀の席を抜け出しては、各々の場へと転がり込んでいた。
それぞれ理由は様々で、それぞれ場所も違うけれど、おもいはひとつ。
――これは勝利と、いえるのだろうか。
聡い彼女は、こういうだろう。『勝利にしていかねば、ならぬのです』と。
優しい彼女は、こういうだろう。『勝利と思わねば、辛過ぎるよ』と。
そして私は、ひとつの答えを出すだろう。
『勝利はそもそも、犠牲を美化する為にあるのだろう』と。
「オルシュファン様」
交流が再開した折には、是非ともわたくしと、わたくしの旦那様と。
釣りをしましょう、ラノシアの大海で。そう零した約束を、思い出す。
一方的に提案した約束だった。返事すら聞かなかった。
不確約な約束。でもそれがあるからこそ、未来をと願っていられた。
未来も彼は失われないと、妄信的に考えていられたのかもしれない。
「軍学者としては、失格でしたかもしれません」
いのちが失われるのは、何時も一瞬。彼だけじゃない、イゼルだって。
もう少し、予測できていれば、身構えていれば、咄嗟の対応がうまくいけば。
最善がこれであるとは、どうしても思えないのは、きっとわたくしが軍師であるから。
「わたくしはこれを、勝利とは言いたくありません……
余りにも、余りにも、失ったものが多すぎるのです」
喜びに沸き立つ祝賀の席では、到底言えぬ心の言葉。
嘆いても戻らぬ、戦友の命。後ろを向いては進まぬ、歩みの跡。
「けれど現実は塗り替えられませんから」
深く深く、眠りに易き森の緑の法衣を。
ふわり雪の上に広げ、彼女は祈る。
「せめてご心配はおかけしません。見守っているだけでは物足りなくなるような
賑やかで美しい都を――未来を、形作っていきますわ」
「歴史家が、この戦を辛勝でもなく、『勝利であった』といえますよう」
「いぜる」
「ねえ、いぜる。何処までいったの?」
黄昏色に染まる雲海の中空で、召喚師が問う。きっとあの激闘のあった場所。
エーテルに還った彼女が「いきつく」場所などたったひとつ。
わかっていても、認められずに。
「シヴァのエギを、生み出したら。貴女に会える?」
蛮神の力を制御し、使い魔とし、操るのが召喚師。
しかし、今彼女は知った。蛮神とは祈りとエーテルがもたらす偶像に過ぎぬと。
彼女の祈りが氷の乙女を蛮神として、使い魔として、手繰り寄せたとしても。
「それもまた氷結の幻想に過ぎない……よね」
それは今度は彼女が生む、ひとときの夢でしかない。
「あんまりだよ!オルシュファン様もエスティニアン様も、イゼルも、イゼルも……」
彼女を乗せる名のある竜は、ただ静かに彼女の慟哭を聞く。
彼女が思いっきり泣けるように、その心を阻害することないように。
「イゼルとも一緒に帰ってこれないなんて!」
いつしか涙声混じり、少女は叫ぶ。
幼子の駄々のようなその声で涙を振り払うように顔を振り。
「こんなの勝利って言えないよ――!」
『気は済んだか、娘』
「……ごめんなさい、ミドガルズオルム。我侭に付き合って貰っちゃって」
いつの間にか黄昏の雲は日の陰りと共に、薄闇を孕み柔らかな藍色となっていた。
静かな静かな雲海に、竜の羽ばたきの音だけが響く。
「……勝ったんだ。勝ち得たものは、あったんだ。そう思わないと、ちょっと辛過ぎるね。
その勝ち得たものを無駄にしない為にも私達は、進まなきゃね……」
終わりが始まりである、とはよくいったものだ。
時には心を曇らせたまま、時には超常の力を私達に丸投げして。
何時にもなく憂鬱な『カミサマ』との旅。
それもそう、なのかもしれない。
――歴史を動かすものってのは、何時だって疫病神だから。
『カミサマ』はそういって、旅路のなか、何度も私達に停滞を薦めた。
今なら止まれる、と。今なら失わなくて済むかもしれないと。
――私達は生きているのだ、どうせいつか死ぬのだよ。
私はそう返したのだったか――
祝賀の席。
私達、光の戦士には――他者に見せられるような笑顔はなく。
密やかに祝賀の席を抜け出しては、各々の場へと転がり込んでいた。
それぞれ理由は様々で、それぞれ場所も違うけれど、おもいはひとつ。
――これは勝利と、いえるのだろうか。
聡い彼女は、こういうだろう。『勝利にしていかねば、ならぬのです』と。
優しい彼女は、こういうだろう。『勝利と思わねば、辛過ぎるよ』と。
そして私は、ひとつの答えを出すだろう。
『勝利はそもそも、犠牲を美化する為にあるのだろう』と。
「オルシュファン様」
交流が再開した折には、是非ともわたくしと、わたくしの旦那様と。
釣りをしましょう、ラノシアの大海で。そう零した約束を、思い出す。
一方的に提案した約束だった。返事すら聞かなかった。
不確約な約束。でもそれがあるからこそ、未来をと願っていられた。
未来も彼は失われないと、妄信的に考えていられたのかもしれない。
「軍学者としては、失格でしたかもしれません」
いのちが失われるのは、何時も一瞬。彼だけじゃない、イゼルだって。
もう少し、予測できていれば、身構えていれば、咄嗟の対応がうまくいけば。
最善がこれであるとは、どうしても思えないのは、きっとわたくしが軍師であるから。
「わたくしはこれを、勝利とは言いたくありません……
余りにも、余りにも、失ったものが多すぎるのです」
喜びに沸き立つ祝賀の席では、到底言えぬ心の言葉。
嘆いても戻らぬ、戦友の命。後ろを向いては進まぬ、歩みの跡。
「けれど現実は塗り替えられませんから」
深く深く、眠りに易き森の緑の法衣を。
ふわり雪の上に広げ、彼女は祈る。
「せめてご心配はおかけしません。見守っているだけでは物足りなくなるような
賑やかで美しい都を――未来を、形作っていきますわ」
「歴史家が、この戦を辛勝でもなく、『勝利であった』といえますよう」
「いぜる」
「ねえ、いぜる。何処までいったの?」
黄昏色に染まる雲海の中空で、召喚師が問う。きっとあの激闘のあった場所。
エーテルに還った彼女が「いきつく」場所などたったひとつ。
わかっていても、認められずに。
「シヴァのエギを、生み出したら。貴女に会える?」
蛮神の力を制御し、使い魔とし、操るのが召喚師。
しかし、今彼女は知った。蛮神とは祈りとエーテルがもたらす偶像に過ぎぬと。
彼女の祈りが氷の乙女を蛮神として、使い魔として、手繰り寄せたとしても。
「それもまた氷結の幻想に過ぎない……よね」
それは今度は彼女が生む、ひとときの夢でしかない。
「あんまりだよ!オルシュファン様もエスティニアン様も、イゼルも、イゼルも……」
彼女を乗せる名のある竜は、ただ静かに彼女の慟哭を聞く。
彼女が思いっきり泣けるように、その心を阻害することないように。
「イゼルとも一緒に帰ってこれないなんて!」
いつしか涙声混じり、少女は叫ぶ。
幼子の駄々のようなその声で涙を振り払うように顔を振り。
「こんなの勝利って言えないよ――!」
『気は済んだか、娘』
「……ごめんなさい、ミドガルズオルム。我侭に付き合って貰っちゃって」
いつの間にか黄昏の雲は日の陰りと共に、薄闇を孕み柔らかな藍色となっていた。
静かな静かな雲海に、竜の羽ばたきの音だけが響く。
「……勝ったんだ。勝ち得たものは、あったんだ。そう思わないと、ちょっと辛過ぎるね。
その勝ち得たものを無駄にしない為にも私達は、進まなきゃね……」
台詞のみ小ネタ。
「イゼル」
「いーぜーる」
「いーぜーる-!何フリーズしてるのー!」
「いぜう!でこぴんすっぞ(`・ω・´)」
「ど、どうするかね。彼女、イゼルが動くまで動かなさそうだが」
「もう置いてかない?リンクパールあるし気付いたら追ってくるわ」
「……やれやれ、甘ったれなやつめ」
アンフェル、心折れたイゼルにつきっきりの巻。
「……食材持ち込むんだったわ」
「君が色々持ち込んだら、君の独断場になってしまうではないか」
「まあ、イゼルのシチューは美味しかったですけど。新鮮だったし」
「御前達は料理はしないのか」
「するんだけど、何時も3人だとアルトちゃんが全部やっちゃうから」
「意外と自己主張するんだねアルトも」
「あ、アルフィノ様。これは適材適所というやつですわ?それにウェントにやらせたら……」
「ワイルドだったのー、そういえば」
「み、皆まで言うな……」
ウェントちゃんは手の凝った料理は苦手。
「まさかドラゴンさんに乗って空を飛ぶ日がくるなんて……」
「アンフェルの懐柔の手際には恐れ入るわ」
「アルトのそのアーリマンの訓練も大変だったろうに」
「一応はそれなりに名も力もある妖異ですから、それよりウェントはグリフォンを捕らえて飼い慣らしたんでしょう?」
「クァールといい、流石狩人だよね……わたしには無理なのー」
「こんなに聞き分けの良い大人のグリフォンなんて普通いないよ。運が良かったのさ」
フライングマウント三種三様。
アーリマンは願望です。
「代理闘士……」
「代理と言うからには、請け負えるのは一人だろう。誰が行く?」
「……代理闘士かあ」
「ならパーティーリーダーとして私が」
「望まないのであれば剣の心得もあるから私が行こう」
「わ、わたし行くよ。わたしだってやるときはやるもの」
「か、被ったのだわ……」
「むう、結局誰が行く……?」
「ど、どうしよ……?」
きみたち。
駝鳥倶楽部はよすんだ。
「イゼル」
「いーぜーる」
「いーぜーる-!何フリーズしてるのー!」
「いぜう!でこぴんすっぞ(`・ω・´)」
「ど、どうするかね。彼女、イゼルが動くまで動かなさそうだが」
「もう置いてかない?リンクパールあるし気付いたら追ってくるわ」
「……やれやれ、甘ったれなやつめ」
アンフェル、心折れたイゼルにつきっきりの巻。
「……食材持ち込むんだったわ」
「君が色々持ち込んだら、君の独断場になってしまうではないか」
「まあ、イゼルのシチューは美味しかったですけど。新鮮だったし」
「御前達は料理はしないのか」
「するんだけど、何時も3人だとアルトちゃんが全部やっちゃうから」
「意外と自己主張するんだねアルトも」
「あ、アルフィノ様。これは適材適所というやつですわ?それにウェントにやらせたら……」
「ワイルドだったのー、そういえば」
「み、皆まで言うな……」
ウェントちゃんは手の凝った料理は苦手。
「まさかドラゴンさんに乗って空を飛ぶ日がくるなんて……」
「アンフェルの懐柔の手際には恐れ入るわ」
「アルトのそのアーリマンの訓練も大変だったろうに」
「一応はそれなりに名も力もある妖異ですから、それよりウェントはグリフォンを捕らえて飼い慣らしたんでしょう?」
「クァールといい、流石狩人だよね……わたしには無理なのー」
「こんなに聞き分けの良い大人のグリフォンなんて普通いないよ。運が良かったのさ」
フライングマウント三種三様。
アーリマンは願望です。
「代理闘士……」
「代理と言うからには、請け負えるのは一人だろう。誰が行く?」
「……代理闘士かあ」
「ならパーティーリーダーとして私が」
「望まないのであれば剣の心得もあるから私が行こう」
「わ、わたし行くよ。わたしだってやるときはやるもの」
「か、被ったのだわ……」
「むう、結局誰が行く……?」
「ど、どうしよ……?」
きみたち。
駝鳥倶楽部はよすんだ。
基本的な話である。
グリダニアの軍隊は幾つかに別れている。その内主要なものが、国外に向けた対応を主とする神勇隊と国内の憂いに向けた対応を主とする鬼哭隊のふたつである。
そして国内の憂いとはすなわち治安維持。
貴人の護衛も仕事のうちである。もっとも、顔を出さねばならぬ場などにおいては神勇隊が代役を担うこともある。
グリダニアにおいて、まず一番護衛の機会が多いであろう存在と言えば。その経験こそ信頼と実力の証と言える相手がいる。
精霊の声を聞くことが出来る高位の幻術士達、言わば道士と呼ばれる者達である。
「全く、何処へお行かれになられたのだ……」
精霊評議会に名を連ねる程の道士となると、その名の重さは計り知れない。当然、本来見失って捜索せねばならぬ等という事は護衛失格と言っても過言ではない。しかして、この道士の護衛が道士を見失ったと報告してくるのは、何も一度や二度の事ではない。
「私が護衛でなければすぐ逃げ出されて……彼女に撒かれる護衛にも叱咤せねばならんが一度きついお灸が必要なのかもしれんな」
私は鬼哭隊の、ル・ハイノ。
そして問題の道士こそ。
厄神乙女、アンフェルツィート。
精霊の声を聞くことの出来ない、一介の冒険者からシェーダーでありながらも道士となったエレゼンの女性である。
しかしながら、困ったものである。
部外者から、偶然によって白魔道士となり、角尊でもない彼女を出来る限り特例にしない為、彼女は望まれて道士となった。
囲い込みと言っても良いのかもしれない、だからか彼女は彼女自身が道士であるということを度々軽んじる。今だって、自分が出席しようが欠席しようが大差ないと考えていることだろう。
彼女が、特異な人間であるということは私も良く知っている。しかしながら、このような軽視が度々他人を振り回し困らせていることをいい加減気付いて貰うべきなのだろう。
「やれやれ、どうしたものかな」
今の私には別の任務も入っていてとてもじゃないが彼女の捜索に割ける時間が無いのだが。
一方で、並の隊員であれば召喚術と幻術を操り、撒いてしまうのが彼女でもある。
どうしたものか。
そう思う私の目の前を、見慣れた尻尾が横切った。
その尻尾の持ち主に予測がいき、私の心は綻ぶ。
そうだ、こいつは適任ではないか。
私はその尻尾に声を投げかける。
「……カスリ!少し良いか」
『少女が、道士であればこそ』
「道士の捜索!?」
グリダニア新市街、カーラインカフェ。
その片隅で驚きと焦りの混ざったような声が上がっていた。
慌てて声の主を制する姿も見える。周囲のざわつきが、内容が確かにただ事でないことを証明している。
「ちょ、ちょっと落ち着いてください」
「いや落ち着くのは良いのだけれども……カスリ、これ本当に“ちょっと頼みたいこと”なの?」
「う、うん」
この場の誰もが、道士というものがどんな存在か分からないなんてことは無い。其れが如何にこの都市を運営していくにおいて、どれだけ大事な存在かも。
「今夜の精霊評議会に出席予定の道士が、護衛を振り切って外遊中なので探して欲しい。って……振り切って?」
「うん。ハイノがそういってたから間違いないみたい」
こんな昼間からカーラインにいる面々の一部は常連というものである。その一部には、ハイノという名前で既に察しがついたらしい。声の主のテーブルを除いて、緊張した雰囲気は壊れきっていた。
「それってどういう……」
「失礼、双蛇党の方々。その道士なのだけれど……若しかしてアンフェルくんかい?」
テーブルに差し入れのスープを片手に、声をかけたのはカーラインカフェのマスターだ。肯定するミコッテの隊員に、彼女ミューヌはやれやれと溜め息をついて隊長のエレゼンに答えた。
「アンフェルくんは冒険者でね……道士の仕事を、特に精霊評議会をサボるためによくこうなるんだ……」
「さ、サボ……」
「道士様ともあろうものがさぼ……」
「ハイノの上司って……」
「冒険者ギルドにも登録している身だから、迷惑を考えてそう遠くには出てないだろう。申し訳ないが、頼めるかい?」
冒険者ギルドに所属している冒険者は、交流の利便性の為ある程度の居場所を冒険者ギルドに教えるよう設定することが出来る。其れを冒険者ギルドを通じて検索出来るようにしていたり、ギルド運営のパーティ募集掲示板に提供されていたりする。
出来ることの多さに、拒否するのは稀な程だ。
「今彼女は中央森林にいるだろう。広いから大変だとは思うけれど……」
「いえ、此方の不手際で何時もすみません……」
元とは言えば護衛が撒かれなければよいという話でもあるし、道士がサボタージュしようとしなければよいという話でもある。
エレゼンの隊員……レアヌと、ミューヌは、何だか互いに申し訳ないような気まずいような、そんな顔を見合わせるのであった。
グリダニアの軍隊は幾つかに別れている。その内主要なものが、国外に向けた対応を主とする神勇隊と国内の憂いに向けた対応を主とする鬼哭隊のふたつである。
そして国内の憂いとはすなわち治安維持。
貴人の護衛も仕事のうちである。もっとも、顔を出さねばならぬ場などにおいては神勇隊が代役を担うこともある。
グリダニアにおいて、まず一番護衛の機会が多いであろう存在と言えば。その経験こそ信頼と実力の証と言える相手がいる。
精霊の声を聞くことが出来る高位の幻術士達、言わば道士と呼ばれる者達である。
「全く、何処へお行かれになられたのだ……」
精霊評議会に名を連ねる程の道士となると、その名の重さは計り知れない。当然、本来見失って捜索せねばならぬ等という事は護衛失格と言っても過言ではない。しかして、この道士の護衛が道士を見失ったと報告してくるのは、何も一度や二度の事ではない。
「私が護衛でなければすぐ逃げ出されて……彼女に撒かれる護衛にも叱咤せねばならんが一度きついお灸が必要なのかもしれんな」
私は鬼哭隊の、ル・ハイノ。
そして問題の道士こそ。
厄神乙女、アンフェルツィート。
精霊の声を聞くことの出来ない、一介の冒険者からシェーダーでありながらも道士となったエレゼンの女性である。
しかしながら、困ったものである。
部外者から、偶然によって白魔道士となり、角尊でもない彼女を出来る限り特例にしない為、彼女は望まれて道士となった。
囲い込みと言っても良いのかもしれない、だからか彼女は彼女自身が道士であるということを度々軽んじる。今だって、自分が出席しようが欠席しようが大差ないと考えていることだろう。
彼女が、特異な人間であるということは私も良く知っている。しかしながら、このような軽視が度々他人を振り回し困らせていることをいい加減気付いて貰うべきなのだろう。
「やれやれ、どうしたものかな」
今の私には別の任務も入っていてとてもじゃないが彼女の捜索に割ける時間が無いのだが。
一方で、並の隊員であれば召喚術と幻術を操り、撒いてしまうのが彼女でもある。
どうしたものか。
そう思う私の目の前を、見慣れた尻尾が横切った。
その尻尾の持ち主に予測がいき、私の心は綻ぶ。
そうだ、こいつは適任ではないか。
私はその尻尾に声を投げかける。
「……カスリ!少し良いか」
『少女が、道士であればこそ』
「道士の捜索!?」
グリダニア新市街、カーラインカフェ。
その片隅で驚きと焦りの混ざったような声が上がっていた。
慌てて声の主を制する姿も見える。周囲のざわつきが、内容が確かにただ事でないことを証明している。
「ちょ、ちょっと落ち着いてください」
「いや落ち着くのは良いのだけれども……カスリ、これ本当に“ちょっと頼みたいこと”なの?」
「う、うん」
この場の誰もが、道士というものがどんな存在か分からないなんてことは無い。其れが如何にこの都市を運営していくにおいて、どれだけ大事な存在かも。
「今夜の精霊評議会に出席予定の道士が、護衛を振り切って外遊中なので探して欲しい。って……振り切って?」
「うん。ハイノがそういってたから間違いないみたい」
こんな昼間からカーラインにいる面々の一部は常連というものである。その一部には、ハイノという名前で既に察しがついたらしい。声の主のテーブルを除いて、緊張した雰囲気は壊れきっていた。
「それってどういう……」
「失礼、双蛇党の方々。その道士なのだけれど……若しかしてアンフェルくんかい?」
テーブルに差し入れのスープを片手に、声をかけたのはカーラインカフェのマスターだ。肯定するミコッテの隊員に、彼女ミューヌはやれやれと溜め息をついて隊長のエレゼンに答えた。
「アンフェルくんは冒険者でね……道士の仕事を、特に精霊評議会をサボるためによくこうなるんだ……」
「さ、サボ……」
「道士様ともあろうものがさぼ……」
「ハイノの上司って……」
「冒険者ギルドにも登録している身だから、迷惑を考えてそう遠くには出てないだろう。申し訳ないが、頼めるかい?」
冒険者ギルドに所属している冒険者は、交流の利便性の為ある程度の居場所を冒険者ギルドに教えるよう設定することが出来る。其れを冒険者ギルドを通じて検索出来るようにしていたり、ギルド運営のパーティ募集掲示板に提供されていたりする。
出来ることの多さに、拒否するのは稀な程だ。
「今彼女は中央森林にいるだろう。広いから大変だとは思うけれど……」
「いえ、此方の不手際で何時もすみません……」
元とは言えば護衛が撒かれなければよいという話でもあるし、道士がサボタージュしようとしなければよいという話でもある。
エレゼンの隊員……レアヌと、ミューヌは、何だか互いに申し訳ないような気まずいような、そんな顔を見合わせるのであった。
プロフィール
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虚向風音
性別:
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