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作中の『カミサマ』とは、Articolato Rosatraum Waentbryda Sterwilfin White Mithra Oblige Saccade のプレイヤーのこと。  
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元々、剣を全く触っていないという訳ではなかった。このエオルゼアの地で弓を取るその前から、私は傭兵であったから。その場にある武器で戦うことは、傭兵にとって必要なスキルのひとつだろう。
だが、飽くまで稼ぐ為に腕を磨いていたに過ぎず、其れを守る為に取ったのには相応の理由があった。



時は遡る。
リムサの料理師ギルドに買い物の為寄っていた時であった。この地、意外と塩はあまり一般に売られておらず岩塩を売っているのもこのリムサのギルドくらいであるのだ。未精製の岩塩はウルダハで掘ろうとすれば掘れるのだが、量を得るなら買うのがはやい。そんな訳で寄ったギルドの方面から、良く知る声の、珍しい感情任せの声が聞こえてきたのだったか。

基本的に、アルトは薄情だ。接触してこない人間には触りだけの関係に終わるし、自分に価値がないと考えるならば他人を笑うことこそあれど善意から咎める事はない。ただ逆に望まれた事のある相手をより深く引き込もうと誘うし、懲りることなく他人の愚痴に付き合ったり何度も何度も同じ事を咎めたり感謝したりして、見る人によれば感情豊かで振り回されているように見えるのかもしれないが。


「よう、ステルウィルフィン。本日は何の用だ?生憎とローザトラウムの奴は取り込み中だがよ」
「岩塩を分けてもらおうと思って来たのだが……あれは何をしているのだ」


ビスマルクではなく、料理師ギルドの方に入るとギルドマスターのリングサスに軽い調子で応対を受けた。岩塩を買いに、というのもこれが初めてではないし、アルトと知己である事は料理師ギルドにおいて周知の事実。その上アルトはこのギルドでは有名人の一人でもある。

紺の上着とズボンの上に、白い前掛けを着けた調理師姿のアルトが、深緑のローブを着たララフェルの少女に何やら怒鳴りたてているのが見えたのだ。
少女は震える手で杖を抱え込んでいる。幻術士だろうか。



「あー、直接は聞いてないがよ。ありゃアイツが養ってた拾い子だ。それがどうも……」
「幾らなんでも危険すぎるわ!特に、ヒーラーは他人の命を預かるのよ!?あんたの力不足で誰かを失って、その事実を一生背負っていく事になるのやもしれないのよ!!」
「……幻術士として冒険者になりたい、と言い出したんだと。その結果があれってこった……やれやれ、店に迄響いてねえかこりゃあ」


成程、気持ちは分からぬ事もない。死なせはせずとも、時にはタンクとして戦うもの達に酷い言葉を浴びせられ、心と杖とを折ってしまう者もいることだろう。肉体的にも、精神的にも心配した結果といえるだろうか。にしても、養い子か……あの若さであるから、さぞ皆を驚かせた事だろう。入れ込み様から見て、時間が短いわけでもあるまい。
それでも、ひとつ気になる事があって私は言葉を漏らした。


「成程な、しかしそれなら呪術士や巴術士もあるだろうに……」
「それがですね」


漏らした言葉に反応する声があり、私は驚いて振り返った。ギルドに常在している調理師の一人、ラティシャであった。彼女は私に寄り、そっと耳打ちした。


「あの子、幻術士がいいんですって。学者のアルティコレートさんの、隣に立ちたいんだそうですよ」



















今でも、あの時を思い出すとあの時の緊張も共に思い出して、自分の鼓動の音すら聞こえてきそうな、そんな気がする。
其れくらい、思えば大きな選択だったのだ。当時は思い至った事を、口にせずにいられなかったというただそれだけだったが。

ラティシャに感謝の言葉を述べて、二人の話す奥へと歩み寄った。途中、段差が煩わしくて手摺を強く掴み、思いっきり飛び越え咎められる声を聞いたのは覚えている。

二人のたち位置をよく見れば、壁を背にするララフェルの少女の姿は本当に本当に小さく見えた。私がルガディンで、アルトがエレゼンで、比較的背の高い二種族であり、ララフェルが小人と呼ばれる程に小さい種族であるのもある。
私はアルトの後ろから二人の方へと寄っていった。アルトには死角だったのだろう、気付く様子はなく、ララフェルの少女が見上げるように目があった。


守りたい。


彼女の、小さな身体を。
自立したいと思った、自尊心を。
憧れの存在の隣に立ちたいという、切なる望みを。


その為に、どうすれば良いのか。
私は何となく理解していた。
剣を取れば良いのだ、盾を構えさえすればよい。


「アルティコレート」
「……な、に。ウェント?やだ、驚かせないでよ。今、忙し……」


「私が彼女のナイトになる。それではダメか」



人を護るために、剣と盾を手にするものを……私達はナイトと呼ぶ。
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