作中の『カミサマ』とは、Articolato Rosatraum Waentbryda Sterwilfin White Mithra Oblige Saccade のプレイヤーのこと。
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私達はReCというフリーカンパニーに所属している。
リーダーはアンフェルツィート。
こじんまりした、身内のフリーカンパニーだ。アルティコレート、ユイ、私、最近知り合ったオブリージェ、私を追っ掛けてきたアガトゲイム。可愛いナイトの後輩である、イスラ。
何時かはハウジングを持とうと言う話ではあるのだが、気が付けば装備に使っていて中々溜まることはない。
そんな私達が、暫く羽を休める場として内密に借りたのが……この仮宿と私達が呼ぶ建物である。
仮宿の一階は憩いのスペース。キッチンがあるし、囲えるテーブルがあるし、壁にはソファが並んでいて騒ぐにはもってこい。
けれどわたくしはいまそんな目的で来たわけではなく、入ってすぐ左手の階段をのぼっていく。
二階はとても静かだ。
奥にある大きな窓から、塩気の僅かに残るラノシアの風が薫る。窓は普段開けられてはいない筈なのだけれども……視線を少し下げると、其処にはソファで抱きあうように眠る二つの影があるのが見えた。
見慣れた褐色肌に銀髪のエレゼンと、もう一人は黒髪のふんわりとしたミコッテだ。そう言えばこのエレゼンの女性は、丸で猫のような癖を持っていたのだったかしら、と僅かに背を丸めてミコッテを抱く彼女を見て笑みが浮かんだ。
ちょっかいを出したがるフェアリーを制し、奥へと進む。奥一面を専有しているベットの下の小さな引き出しを開くと、其処に毛布がしまわれている。
其れを取り出すと、寝入っている二人にそっとかけてやる。フェアリーが面白がって毛布の上に寝転がるのを微笑ましく見守りながらわたくしは振り返る。
ソファの対面。
背の高い椅子に、格式張った机。
黒い台に挿された羽ペンの隣に、わたくしの愛本を開く。嘗ては最低限、その本の力を発揮する為の魔紋のみが刻まれていたヒーラーグリモアには、今や血も汗も努力も苦悩も、わたくしの歩んだ戦いの日々こそ刻まれた、わたくしだけの本へと変わっている。
椅子に深く腰掛け、わたくしは今日の調律を開始した。
よりこの本と、そしてフェアリーと、深く繋がる為に……。
人や獣の気配が動くと、目が覚めるし眠ることも出来ない。それは、私の生き抜く為の適応と言えばそうであるし、悩みでもある。
個室の宿屋は未だ休める事も多いが、余りに人が頻繁に動くから寝付けず、クァールやチョコボを番にして敢えて野外で寝ることも一度や二度に留まらない。
野外は野外で動物や魔物がいるため、確り休めるという訳でもなく……必然ながら普段の私の眠りは非常に浅い。
私にとって、仮宿は安全地帯である。他者の気配に過敏な私がそれを気にすることなく熟睡できる数少ない場所だ。それは、この仮宿に入る人間が、私と、私達と深い関係にある者しかいないというのがある。
気配を感じなくなった訳ではないが、気にすることなく眠れるような者は幾人かいるのだ。
そんな深い眠りが欲しいときと言えば、やはり『カミサマ』から解放されてすぐなどか。今日も誘われるままに深淵を覗き込んできた。船、と形容するべきなのであろうダラガブの構造物の中……根を張ったかのようにその場を離れる事のない門番『アバター』。
三期目の正直、といった処だった。残念ながら今回の戦友は何時も決まって挑む者達ではなかったけれども。ようやっと打ち倒す事が叶い、『カミサマ』から解放されて急ぎ足で此処に至る。
朝も夜も、忘れて戦う。それはとても楽しいけれども、事が終わるとどっと疲れがやってくるものだ。心臓の拍動が煩い、体が鉛とまではいかなくとも重い。これ迄は見兼ねた革ギルドマスターが、人払いをした一室で次に目が覚める迄こんこんと寝かせてくれることもあったが、彼女の手を煩わせる事もない。
そんな事を考えながら二階の扉を開くと、あまり珍しくもない光景が広がっていた。
ソファで銀髪のエレゼンの女性が黒髪のミコッテと寝ている。毛布が掛けられているのは、第三者がかけたものだろう。
其処から反対側、書斎にあっても可笑しくないような作業机に、突っ伏す栗色の髪のエレゼンがいるのが見えた。意識が微睡みの最中に落ちていても尚、コントロールと魔力供給が切れていないのだろうか、傍らにフェアリーが心配そうに飛び回っているのが見える。
あれでは満足な睡眠にはなるまい。
彼女も多少は周囲の気配が読める方ではあるのであるが、気配を消すことにも慣れている私では気付きようがない。近寄ってくる私に気付いたフェアリーに、口に人差し指を持っていくサインを返すと、彼女は理解したのか邪魔にならない処にそっと腰掛け飛ぶのを止めた。
そっと、椅子を少しだけ引く。突っ伏す彼女が机という支えを失わない程度に。
空間のあいた、椅子の脚と彼女の足の間に片腕を通す。後は引き寄せるように彼女の胴を抱え込んで抱き上げた。
彼女を抱いたまま、奥の寝台に上がる。ゆっくりと寝台の一角に彼女を降ろす。この時期ならば、無理に布団をかける必要もないだろう。
私はその彼女の隣に寝転がり……程なく深い眠りに誘われていくのであった。
リーダーはアンフェルツィート。
こじんまりした、身内のフリーカンパニーだ。アルティコレート、ユイ、私、最近知り合ったオブリージェ、私を追っ掛けてきたアガトゲイム。可愛いナイトの後輩である、イスラ。
何時かはハウジングを持とうと言う話ではあるのだが、気が付けば装備に使っていて中々溜まることはない。
そんな私達が、暫く羽を休める場として内密に借りたのが……この仮宿と私達が呼ぶ建物である。
仮宿の一階は憩いのスペース。キッチンがあるし、囲えるテーブルがあるし、壁にはソファが並んでいて騒ぐにはもってこい。
けれどわたくしはいまそんな目的で来たわけではなく、入ってすぐ左手の階段をのぼっていく。
二階はとても静かだ。
奥にある大きな窓から、塩気の僅かに残るラノシアの風が薫る。窓は普段開けられてはいない筈なのだけれども……視線を少し下げると、其処にはソファで抱きあうように眠る二つの影があるのが見えた。
見慣れた褐色肌に銀髪のエレゼンと、もう一人は黒髪のふんわりとしたミコッテだ。そう言えばこのエレゼンの女性は、丸で猫のような癖を持っていたのだったかしら、と僅かに背を丸めてミコッテを抱く彼女を見て笑みが浮かんだ。
ちょっかいを出したがるフェアリーを制し、奥へと進む。奥一面を専有しているベットの下の小さな引き出しを開くと、其処に毛布がしまわれている。
其れを取り出すと、寝入っている二人にそっとかけてやる。フェアリーが面白がって毛布の上に寝転がるのを微笑ましく見守りながらわたくしは振り返る。
ソファの対面。
背の高い椅子に、格式張った机。
黒い台に挿された羽ペンの隣に、わたくしの愛本を開く。嘗ては最低限、その本の力を発揮する為の魔紋のみが刻まれていたヒーラーグリモアには、今や血も汗も努力も苦悩も、わたくしの歩んだ戦いの日々こそ刻まれた、わたくしだけの本へと変わっている。
椅子に深く腰掛け、わたくしは今日の調律を開始した。
よりこの本と、そしてフェアリーと、深く繋がる為に……。
人や獣の気配が動くと、目が覚めるし眠ることも出来ない。それは、私の生き抜く為の適応と言えばそうであるし、悩みでもある。
個室の宿屋は未だ休める事も多いが、余りに人が頻繁に動くから寝付けず、クァールやチョコボを番にして敢えて野外で寝ることも一度や二度に留まらない。
野外は野外で動物や魔物がいるため、確り休めるという訳でもなく……必然ながら普段の私の眠りは非常に浅い。
私にとって、仮宿は安全地帯である。他者の気配に過敏な私がそれを気にすることなく熟睡できる数少ない場所だ。それは、この仮宿に入る人間が、私と、私達と深い関係にある者しかいないというのがある。
気配を感じなくなった訳ではないが、気にすることなく眠れるような者は幾人かいるのだ。
そんな深い眠りが欲しいときと言えば、やはり『カミサマ』から解放されてすぐなどか。今日も誘われるままに深淵を覗き込んできた。船、と形容するべきなのであろうダラガブの構造物の中……根を張ったかのようにその場を離れる事のない門番『アバター』。
三期目の正直、といった処だった。残念ながら今回の戦友は何時も決まって挑む者達ではなかったけれども。ようやっと打ち倒す事が叶い、『カミサマ』から解放されて急ぎ足で此処に至る。
朝も夜も、忘れて戦う。それはとても楽しいけれども、事が終わるとどっと疲れがやってくるものだ。心臓の拍動が煩い、体が鉛とまではいかなくとも重い。これ迄は見兼ねた革ギルドマスターが、人払いをした一室で次に目が覚める迄こんこんと寝かせてくれることもあったが、彼女の手を煩わせる事もない。
そんな事を考えながら二階の扉を開くと、あまり珍しくもない光景が広がっていた。
ソファで銀髪のエレゼンの女性が黒髪のミコッテと寝ている。毛布が掛けられているのは、第三者がかけたものだろう。
其処から反対側、書斎にあっても可笑しくないような作業机に、突っ伏す栗色の髪のエレゼンがいるのが見えた。意識が微睡みの最中に落ちていても尚、コントロールと魔力供給が切れていないのだろうか、傍らにフェアリーが心配そうに飛び回っているのが見える。
あれでは満足な睡眠にはなるまい。
彼女も多少は周囲の気配が読める方ではあるのであるが、気配を消すことにも慣れている私では気付きようがない。近寄ってくる私に気付いたフェアリーに、口に人差し指を持っていくサインを返すと、彼女は理解したのか邪魔にならない処にそっと腰掛け飛ぶのを止めた。
そっと、椅子を少しだけ引く。突っ伏す彼女が机という支えを失わない程度に。
空間のあいた、椅子の脚と彼女の足の間に片腕を通す。後は引き寄せるように彼女の胴を抱え込んで抱き上げた。
彼女を抱いたまま、奥の寝台に上がる。ゆっくりと寝台の一角に彼女を降ろす。この時期ならば、無理に布団をかける必要もないだろう。
私はその彼女の隣に寝転がり……程なく深い眠りに誘われていくのであった。
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