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作中の『カミサマ』とは、Articolato Rosatraum Waentbryda Sterwilfin White Mithra Oblige Saccade のプレイヤーのこと。  
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私はウルダハの出身である。傭兵ではあるが、其の名はいつの間にか広く知れ渡り、身勝手では居られない身になってしまったことだ。

暁の協力者である冒険者。森のモーグリ達の認める吟遊詩人。
ウルダハ王宮が認めた自由騎士の一人。そして、一応ではあるが私は不滅隊の者なのである。

つくづく身を縛るものが多くなったと思わざるを得ない。
しかし、っそれが私の身分を保証し確かなものにしているのもまた事実だ。
それらに対して無礼を働くわけにもいかないだろう。


「それで、不滅隊を通じて私にと」
「ええ、騎士としてではなく"風の花嫁"その人として招かれてほしいとのことでして」


ルガディン族、ゼーウォルフである私は、伝統的な命名規則に則った名前を持っている。
また、その名前が持つ意味がそのまま異名として用いられる事も多い。
"風の花嫁"というのは私ウェントブリダの意味するところであるのだ。

ウルダハのナル回廊の一角、不滅隊の詰め所で渡された2つの手紙。
私はその中身に心底困惑していた。


1枚目は、差出人はナナモ女王。つまり、ウルダハ王宮からである。
形式ばった文章でウルダハへの貢献者である私を、舞踏会へ招待する内容が書かれていた。
添えられていた美しいマラカイトの指輪は、ナナシャマラカイトであろうか。
恐らく、舞踏会の場において本人認証をする為の装飾である事が伺える。

2枚目は、ジェンリンスからであった。
彼は銀冑団の現総長である。騎士としては上司のようなものであるのだが……
私が舞踏会に招待された事を受けて、些細ながら贈り物があるのだという内容が礼儀正しく綴られていた。
いつまでもまじめで真っ直ぐな彼が、私に贈る物とは何であろうか。


「狩猟と詩歌に生きる貴女には、本来無縁なものであるのは承知の上です。しかしながら、貴女の功績は評価されるべきものでもありますし、上層社会にも貴女の存在を正しく伝える必要があるのです」


どうか、ご理解の程をお願いしますと。
そうはいうものの、どうしたものであろうか。
ジェンリンスには、「舞踏会当日着ていくつもりの服で来てくれ」と言われ、私は宿屋で頭を抱える羽目となった。
革細工に理解はあるが、裁縫はあまりわからない。貴族社会に対する、自身のお披露目の機会であるのは確かなのだ。吟遊詩人として姿を見せるなら兎も角、それ以外において流石に戦闘衣装やアーディファクト、普段着などで行くわけにはいくまい。

そういえば、ボディガードとして式場の類へ赴くようになった時の為の男物のスーツがあったのではないだろうか。そう思い出して預けている荷物を探る。しばらくして買ったものの使われていない、新品同然のスーツがさらし布と一緒に見つかった。

「少々キツい気もするが……ややすれば慣れる、よな?」

男性物のぴっちりしたスーツを着るために、ルガディン族の身で唯一女性らしさを訴えている胸部の膨らみは少々邪魔になるようだ。其の為下着としてさらしを着込もうと考えたのだが、それはそれで……

「……息苦しい」


やはり人付き合いというものは色々大変であることだ、と思い知らされるのであった。
















フロンデール歩廊の片隅に、銀冑団の詰所は存在する。
少しだけ人目を気にして、私はその扉をノックして名乗りを上げた。


「失礼、ウェントブリダだ」
「入っておいで、ウェント」


扉の向こうから聞こえてきたのが、近しい関係の者の声であった気がして私は内心首を傾げる。
しかし留まる理由もない。
一礼して扉を開けた先、向こうにいたのは声の主アーサー・ラファエルを始め、総長ジェンリンス、そして……


「ナナモ様!?ラウバーン様までっ!?」

まさかの女王陛下とグランドカンパニーの盟主ラウバーンの2人の存在には驚きが隠せない。

「なんじゃ、其処まで驚く事か?」
「貴様が初めて社交界に出るのだから、少々土産をと思ってな」


思わず跪こうとする私を、ナナモ様は制止する。
てくてくと歩み寄って私を見上げ、彼女は笑った。


「お主の事はラウバーンからよく聞いておる。ウェントブリダ、お主も女であるのじゃから」


とてもとても可愛らしいお姿の筈なのだが、私の背中には冷や汗がよぎった気がした。
そしてその理由を考える間もなく、答えは姿を現した。

明らかに並の素材ではないと分かる、艶やかな生地であることが人目で分かる衣装を抱いて、奥から1人のエレゼン将が現れたのだ。
確か、彼女はラウバーンの御付でエリヌ・ロアユといっただろうか……


「それでは、ウェントブリダさん。此方のお召し物に着替えましょうか。女人なのですから、ドレスでなくては話が始まりませんよ」


恐らく土産とはそれだろう、と想像がついてしまう事が恨めしい。
碌な抵抗も出来ず、アーサーとジェンリンスに助けを求めようと視線を向けるが二人とも柔らかい笑顔で私を見送るだけであった。
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