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作中の『カミサマ』とは、Articolato Rosatraum Waentbryda Sterwilfin White Mithra Oblige Saccade のプレイヤーのこと。  
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「……それは、どういうつもり?」
「どういう、も何もひとつしかあるまい。私がナイトとして彼女の前に立つ。敵からも罵詈雑言からも護ってやる」


振り返ったアルトの視線から、目を逸らしてはいけないと感じていた。覚悟というものを、人々は往々にして目線を合わせられるか等といった相手の動きから探ろうとする。今は物怖じしている時ではない。


「言ったからには二言は許さないし、泣かせたりしたら『カミサマ』にチクって貰うわよ?」
「構わん、告げ口されるような失態をする気などないがな」


ついて出る言葉が、私にキツい条件を提示しているように見えてその実ララフェルの少女をただ少し過剰に心配しているだけというのが微笑ましい。笑顔になりそうなのを、堪えるのが精一杯だった。笑ってからかってやりたいところだが、今はそんなことの出来る話のタイミングではないのだから仕方ない。







「……わかったわ」

アルトが分かりやすく肩をすくめて見せた。呆れのこもった声色は、しかし何処か安堵や歓喜といった感情も抱いているように感じさせる。

私もほっと胸を撫で下ろす思いでいた。結局、最終判断を下すのは彼女であったしこっそり連れ出そうものなら誰かにチクられたって文句は言えない。彼女がそうやって知った時、私は無事ではすまないことだろう。


「結生」

ハッとした顔で、やり取りを見ていた視線をアルトの表情を伺うように動かすララフェルの少女。
不安で揺れる彼女の視線に、応えるかのようにアルトは笑った。
微かに口の線の先が上がるだけ、それでも、慈しむ目は柔らかい。

「彼女の目の届く内で、やってみる?」
「……!う、うん」








「やるからには、やめたいって言葉にしたらやめてもらうわ。結生もそうだけれど、ウェントあんたも」
「うん、大丈夫」
「分かっている」


厳しいと言われれば、そうやもしれぬ。だが、それが私と少女を心配してのことだとは重々承知してもいる。
視線を後ろにやるように此方に首を向ける、アルトの催促に私はそっと少女の目の前に跪く。ナナモ様の御前に跪くラウバーンをこの目で見てから、少しこの構図を羨ましく思っていたものなのだが……まさか本当に為す機会がくるとはね。
跪いてようやっと視線があう身長差、私は顔だけを上げて名を名乗る。

「ウェントブリダだ、お嬢さんの名前を聞いていいかい?」
「逢梨 結生……その、宜しくね?」














「結生は何かあったらリンクパールで尋ねなさい。勿論、ウェントに聞いてもいいけれども。ヒーラーのことは熟知しているつもりだから」

結生が頷くのを見て、アルトは満足そうに目を細めた。それから、此方を振り返りアーマリーチェストから何やら取り出し、差し出した。


「はい、これ使いなさい」
「いや、これは幻具ではないか。それを必要としているのは彼女の方ではないか?」

差し出されたのは、幻術士用の長杖だ。それも、本当に駆け出し間もない人間の為のもののようである。
確かに結生ではこの杖を使う時期は直ぐに来て直ぐ終わるのかもしれないが……


「ナイトになるのでしょう?」
「ああ、自由騎士というものがあってな。それになり秘伝を教われるよう、掛け合ってみようと思う」

恐らく彼女も何時までも幻術士でいることはないだろう。何時かはソウルクリスタルを手にする日が来るような、そんな気がする。そんなこと限られた人間のみに訪れるものであるのだが。


「……はぁ」

アルトが明らかに呆れるのが見えた。リンクパールに触れ、リンクシェルのひとつに声を掛けている。私も所属しているリンクシェルである為、彼女がそのリンクシェルの気さくなナイトの青年に私への教授を頼むような内容は聞こえてきた。
通信を終えて、アルトは突っ込んだ。


「あんたに幻術の心得がないからよ……ナイトになるのには幻術の知識も必要なのよ、知らなかったのね……」

あの喧騒の後の、更にあの宣誓の後だ。余りの恥ずかしさに私が崩れ落ちたのは言うまでもない。


「直ぐに、とはならないでしょうけど合間合間に学んでおきなさいな……」
「ああ……」


逆に言えば、そんな恥ずかしい失態を晒すほど、あの言葉は土壇場の閃きであり、其れまで考えもしなかった事柄であった。

たった一人の少女の為。
そんなナイトが、ちょっとだけウルダハの歴史に名を残すのは。もうちょっと、先の話。
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